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ガチャり
「ただいま」
返事はない。
リビングの電気をつけると
ラップが乗ったおかずが2つあった。
『チンして食べてね』
私と、義兄の分。
父と母は再婚だった。
お互い連れ子の私たちがいた。
母は私で。
父の宇内さんは
義兄である天満さんを連れ
一緒の暮らしを始めた。
2人の馴れ初めはバレーだった様だ。
義父も母も
日本バレーボール協会に勤めていた。
結婚なんて人生で何回あるか分からない。
2人にとっていい事だったのかもしれない。
義兄と言っても
年頃の男なわけで。
部屋の中で気まずさは流れる。
天満「おかえりなさい」
「ただいま」
天満「そう言えば、
GW宮城県の学校に
遠征に行ってきたんだって?」
「私は…行ってない」
天満「そうなんだ」
「でも。
『小さな巨人』に憧れて
烏野に入った子居たって。」
天満「…ッ懐かしいな」
「もうバレーやらないの?」
天満「…うん」
「そっか」
天満「Aちゃんも、
マネより選手でしょ?」
「…もういいの。」
天満「またやりたくなったらやったらいいよ。」
また、
が通用するのは
あと何年?
あと何回?
ボールを見る度苦しい。
苦しくてたまらない。
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作者名:しお | 作成日時:2020年9月27日 17時