絹の髪の彼は【アルスラーン戦記】

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Aside






その日の朝は早かった。


国王陛下は軍を率い、戦場へと向かった。


A「濃い霧が出てるな…」


ダリ「A殿、緊張しておられますか？」


A「へへ…大丈夫だよ。ダリューン。」


私がくしゃりと笑うと、ダリューンもにこやかになった。


こうやって笑ってられるのも…今だけなのかな。


カー「ダリューン！ちょっと良いか？」


カーラーンがダリューンを呼んでる様だった。


ダリューンはそれに気づき、一言言った。


ダリ「では、A殿、少し席を外しますね。」


A「はい。私はここで待ってますね。」


ダリューンは、カーラーンの方へ向かった。


ダリューンも、私が女である事を知っている。


色々気に掛けてくれて本当に心強い。


そういえば、殿下はどこだろう。


私が見回すと、絹のような髪が靡いているのが見えた。


きっとあれだ…。


今日もキラキラとしていて、とても美しい…。


一人見惚れていると、目が合う。


その蒼い眼は、不安と焦りで混ざっている様だったが。


殿下は私に口で合図した。


『戦が終わったら、一緒に街へ行こう』


私にはそう見えた。


だから私はニコッと笑顔を作った。


私も不安だったけれど…。


なんだが嫌な予感しかしなかった。

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