絹の髪の彼は【アルスラーン戦記】

2 一年前 ページ3

アルスラーンside





私は、思い切ってお願いした。



アル「ヴァフリーズ。お願いですから！」



ヴァ「しょうがないですね…。じゃあ今日だけですよ。」



私は街に行きたい。




私が、ここまでしてヴァフリーズに頼んだのは言うまでもない。




街には沢山、異国からの品物が売っている。




食べ物や動物、衣服に飾り物。




それを一度でも見てみたいからだ。




ヴァ「それでは私の甥、ダリューンに護衛についてもらいますね。」




アル「ありがとうヴァフリーズ！」




ヴァフリーズは優しい。剣術の稽古の時は少し面倒だが。
ダリューンは近くにいてくれるだけでも心強い騎士だ。




ヴァ「では、明日の朝。いってらっしゃいませ。」




明日の朝、か。




私はそれが待ち遠しくて堪らなかった。




やがて、夜になる。




その日の夜、私は夢を見た。



詳しくはあやふやで覚えていないけれど。



「た…すけて…助けて…」



細い糸の様な少女の声が耳を触った。



少女はとても可愛らしい顔をしていた…。



この国ではない異国の顔だ…。



「君、大丈夫？ 名前、なんていうのかい？」



優しく私は話しかける。



「わ…私の名前は…A」



A…その単語、だけは朝までずっと覚えていた。



これから何が起こるかも知らずに…。

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