絹の髪の彼は【アルスラーン戦記】

9 ページ11

Aside



苦しい…


私は今、生きているのだろうか…。


もう、戦が始まって何時間も経っただろう…。


ゆっくりと目を開けると、そこは地獄だった。


殺風景な平野に、兵が何人も倒れ血を流している。


A「み…みんな…大丈夫…」


私の頭の中であの時の光景が思い出された。


『逃げて！』


私も、父母の居るところへもう行くのだろうか…。


そういえば…殿下は…


ぐったりと傷だらけの身体を起こす。


A「殿下！どこですか…！」


力の限り叫ぶ。


その声が聞こえたかの様に、彼の声は返ってきた。


アル「父上、ダリューン、ヴァフリーズ、A！」


今、確かに聞こえた。


A「殿下…今すぐお助けに参ります…」


私は、何もない平野をただ一直線に、殿下の声の方へ駆け抜けた。


いない…いない…もういないのか…。


私はもう力尽きた。


故郷に帰れず、パルス…という地で私は死 ぬ のか…。


そう思った。


そうして私はバタリと倒れ、ゆっくり瞼を閉じた。

10→←8

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーナンバー

8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す