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｢なあなあ、お前こんなところで何やってんだ？｣
｢む、誰だ…？｣
いつも遊んでいる公園に見知らぬ奴がいた。背格好から見ておそらく同い年だろう。
公園の端で、木の枝を握りしめて地面にひたすら何かを書きなぐっている男の子。
それだけで、どこか異様だけれど、興味を引かれる何かを感じる、そんな雰囲気の男の子。
｢なあ、何書いてんのそれ。見せてよ｣
ズイと顔を近づけて上からそれを覗き込めば、何やら地図のようなものと丸や四角などのマーク、そしていくつもの矢印が書かれている。
｢…質問の答えになっていない｣
｢…ん？ああ、ごめん。錦って言うんだ、よろしく｣
そう言って手を伸ばすが無視をされる。
なんだコイツ。
｢戦術だ｣
｢は？｣
｢だから、お前の聞いてきた質問の答え｣
｢ああ｣
成程と納得しかけたところで、思考を止める。
｢いやいやいや、戦術ってなんだよ｣
｢如何にこちらの兵力を減らさずに、短期間で相手を制圧するにはどうするべきだと思う？｣
｢はい？｣
こちらの質問の答えはどうした。ブーメランじゃないか。
しかし、相手はこちらの答えを待っているようで、じっとこちらを見つめてくる。
｢え〜…。ん〜、じゃあ、そうだなぁ…。夜とか相手が油断している隙をついて、奇襲をかける…とか？｣
何となく前にアニメで見た戦闘シーンを思い出して答える。
普段はそんな流血シーンがあるようなアニメは見ないのだが、たまたまこの間テレビをつけたらやっていて、そのまま見てしまったのだ。人が切られた瞬間に目を背けてしまったが。
｢それもひとつある。けれど、それではこちらの戦力が大幅に削がれてしまう可能性が大いにある｣
｢じゃあ、どうするのさ｣
｢補給部隊を叩けばいい｣
ニヤリと笑ってそう答える彼。
｢戦いの場所なら、相手も普通に戦えるんじゃないの？そんなことだけで、そんな風になるのか？｣
｢人間の戦意を削ぐには、それだけの事でも充分の打撃なんだよ｣
そうして、楽しそうに話し始める彼の話は難しくて全然入ってこなかった。
ただ、そのコロコロと変わる表情が面白くて、最後まで話を聞き終えていた。
｢…ふう。うっかり語りすぎてしまった…そうだ、俺の方がまだ名乗っていなかったな。俺は―｣
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作者名：にこ† | 作成日時：2020年3月31日 10時
