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｢―と、言うわけでして｣
昼休みになり、急いで彼のクラスへと駆けていき、人のいない空き教室にやってきた。
｢ああ、その噂な…｣
と、先程聞いた噂の真相を聞くと、本人はうんざりしているようだった。
これは、聞かない方が良かったのだろうか。
｢別に、周りからどう言われようがどうでもいいんやけど…｣
顔を手で覆ったあと、そのすき間からちらりとこちらを横目で見る彼。
｢お前だけには知られたくなかった｣
｢私が噂を鵜呑みにする人間に見えますかい？｣
｢全く｣
｢でしょ？｣
にひひと笑えば｢変わらないな｣と呟く彼。
｢で、実際はどこまでが本当？｣
｢は？｣
眉間に皺を寄せて、答えたくなさそうな反応を見せる。
しかし負けじと、じっと見つめ返す。
根負けしたのかひとつため息をつく。
｢生徒会に入ってるってことくらい。別に全員から慕われてるわけやない。頭も別に特別良いわけやない。得意なのは得意だけど、苦手なものはとことんダメ。そんな感じや｣
どこで尾ひれはヒレ付いたのか、と頭を悩ませているらしい。ただ、否定をしようがしまいが流れていくのは噂のようで止められないらしい。
面倒くさい、と小さく呟いていた。
｢それに別にイケメンちゃうやろ｣
｢それは、否定しちゃあ嫉妬に狂う男が生まれるからやめとけ｣
ため息混じりにそんなことを抜かすので、そこははっきりと否定させてもらった。
あなたはどこからどう見てもイケメンです。
｢普通にイケメンの部類に入ると思いますぜ、旦那｣
｢はいはい、どーも。ていうか何キャラやねん、それ｣
｢これが、素の私です〜｣
いや、違う。
ごめん、これは嘘。
だって。
―そういえば、彼にはこんな噂もあってね
先程のクラスメイトの言葉を思い返す。
―彼って、女嫌いらしいよ
これが本当なら、私にとっては死活問題。
せっかくの親友と再び出会えたのに。
ちゃんとした女の子になったのに。
それが原因で嫌われたら。
だって、彼は私の――。
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作者名：にこ† | 作成日時：2020年3月31日 10時
