【黒】ペットの躾は程々に ページ4
最近になって可愛いペットを飼い始めた。愛玩動物、に以前は興味が湧かなかったが心境の変化だ。
たまたま見かけてから欲しくなったんだ。今は飼い始めてから一週間…程だろうか。
まだ反抗的で、触ろうとすると手を払われてしまう。でもご飯は食べてくれる様になって助かった。
少しずつ懐いてきてはいるが、まだ躾が足りていないのかも知れない。
可愛らしい反抗を見られるのも今の内だろうし、それはそれで良いのだけれど。
友人達に話すと羨ましがられるが、会わせる訳にはいかない。
俺だけの大事なペットは、例え彼奴等だろうと会わせたくはないんだ。
そう言えば、最近は度々脱走しようとするんだよな。鍵を掛けているから良いものの…やはり首輪を着けるべきだろうか。
頭が良いから、色々と機能の付いた首輪の方が良いだろう。万が一にも逃げられたくは無いからな。
「…そう考えて今日はこの首輪を持ってきたんだ。黒色は俺の趣味、だがな。」
嫌そうに顔を歪めるペットに、無理矢理首輪を着ける。やはり黒色がよく似合っている。
誰だって可愛いペットが自分の色を身に付けていたら、それだけで気分は上がるものだろう。
頭を撫でようとすると、手を払われた。この事を注意するのは、これで何度目だろうか。
「はぁ…迂闊な事はしない方が身の為だゾ。いい加減に学んでくれないか。」
いくら可愛いペットのやる事とは言えど、限度と言うものがある。ついため息を吐くのも仕方が無い。
『…もう、止めてよ。家に、帰りたい。』
口を開くとそんな事を言うペット…A。いい加減にその言葉も聞き飽きた。
彼女と出会ったのは偶然だ。街で見掛けて、欲しいと強く思ったから連れてきた。ただそれだけ。
俺の想いを否定しなければ、こんな事にはならなかったと言うのに。
だから今度は否定されない様に、俺に従順な彼女へと躾直すつもりだ。
俺が世話をして、可愛がって、保護しているのだからペットに違いないだろう?
憎々し気な表情を浮かべ、此方を睨み付けてくる彼女と、しゃがみ込んで目線を合わせる。
「Aは俺のモノ、俺だけのモノだ。絶対に逃がしはしないのだから、脱走なんて諦める事だな。」
それだけ言い残して部屋から出る。時間は幾らでもあるのだから、ゆっくりと従順にしていけば良い。
先程彼女が浮かべた絶望の表情を思い出し、俺は僅かに口元を緩めた。
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