【d!】必要不可欠 (ページ3)

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【薄紫】吐き出された想いページ3

「うぅ…おぇっ、はあっ、はぁ…。」

胃の中に入っていたモノは、全て体外へと吐き出された。地面に撒き散らされる吐瀉物。

口内に少し残った酸味と独特の臭い。気持ちが悪く不快、その一言に尽きる。

何故こんな状態になっているのか、だなんて考えるまでも無い。

愛しくて堪らない彼女。そんな彼女が使用した物を集めたのだが、何かが足りない様な気がした。

少しして気付いたのだ。コレを体内に入れれば、俺の中にも彼女の一部が入った事になるのでは無いかと。

我ながら中々に気持ちの悪い考えだと思うが、使用済みのモノを集めている時点で今更だった。

思い立ったが吉日、と言う事で彼女の使ったモノを口に入れようとして、ふと思った。

このままコレが消化されれば、自分の体内にある他のモノと混じってしまう。

それでは彼女のモノを体内に入れた意味が、あまり失くなるのでは無いかと。

それならば体内のモノを出してしまえば良い、と考えて冒頭に至る。

流石にこの状態のままで、彼女のモノを口に運ぶ訳にはいかない。

軽く口をゆすいで、多少の清潔感を取り戻す。彼女を密かに撮った写真を眺めながら、少しの優越感に浸った。

少し緊張した状態で、彼女のモノを口に含む。嚥下するまでには少し時間がかかった。

「Aの一部が俺ん中にあるんやなぁ…。」

体内に彼女の一部を取り込めたと言う喜びから、つい声に出てしまう想い。

俺のストールを軽く引っ張っては微笑む彼女。そんな彼女も勿論可愛らしいが…。

しかし俺がこんな事をしていると知った時の、彼女の表情も気になるのは確かだ。

軽蔑する？怯える？俺の事を優しいと思っている彼女の事だ、ショックは大きいだろう。

想像するだけでも楽しいが、現実にどうなるのかも見てみたい所ではある。

今度、事故に見せかけて言ってみようか。それかもう少し信用を得てからにするか。

彼女は俺の事を兄の様に慕っているだろうが、俺は彼女を妹として見た事は無い。

ずっと前から、狂おしい程に愛しい彼女。これからもその想いが変わる事は無い。

「Aが大好きで大好きで仕方無いんよなぁ…。怯えるのはええけど、逃げるんだけは許さへんから。」

写真の彼女に向かって呟いた所で、この想いが彼女に届く訳は無い。

それでも口に出したこの想いは、微かに俺の気分を高揚させたのだった。