続き。。。 ページ45
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のびのびと息ができていたはずの屋敷は、気付けば息をするのも一苦労な地獄と化しました。いえ、待遇は変わりませんが、信じていた人が自分を道具として見ていた事を知って、心が押しつぶされそうになったのです。
心ここに在らずで、擦り傷を作って帰るようになった。その時、件の陰陽師が彼女の前に来てこう言いました。
「両面宿儺と戦う日が決まった。」
ただ日にちを伝えて彼は立ち去りました。
本当に自分を道具としか見ていないのだな。改めて失望しました。自分と、彼に。
ある日、両面宿儺と戦う日の二週間程前でしょうか。骨にひびが入るけがを負って彼女は帰ってきました。
陰陽師は彼女の姿を見た途端に顔に平手打ちしました。
「両面宿儺を敗る為に鍛えているのに何故怪我をしている。」
「貴様は化け物を殺す道具でしかないのに。」
彼は酔っていたのです。彼女に言わずにいることをボロボロと吐き出してしまうほどに。
彼女は痛む頬を反転術式で治し、静かに泣きました。心が痛んでも反転術式は使えない。涙を流すか時間が解決するのを待つしかない。でも、彼の道具として生きるのは嫌。
彼女はこう考え出しました。
両面宿儺と対峙する時、自分以外の陰陽師が向かわされる。最後まで両面宿儺の前に立っていたという功績を遺して殺してもらおう。
彼女は道具として生き、復讐することよりも両面宿儺を祓えずに死ぬ事を選びました。
そうして、彼女は宿儺を利用し、死んだのです。
「か、っ…………っ!」
いま、のは…私の記憶…?いや、前世の記憶か。
「ほぉ、自我を保つか。」
顎から手を離した宿儺は嬉しそうに明るく言います。
「それでいい。この俺が直々に術式をある程度目に当てられるまで鍛えてやろう」
この呪いの王にだぞ。
光栄に思えと言わんばかりに言ってきた宿儺。そして、鍛えなければ領域から出さないとまで言ってくる。現実世界での自分はどうなっているのやら…。
「…お願い、します……」
「手が滑って殺されぬように気をつけろ」
…戻る前に死にそうです。先生。
一方、現実世界では。
虎杖悠仁が生き返り、地下室にて映画を見ている頃。同地下の一室のベッドに、固く目を瞑るAの体が横たわっていた。その近くには五条が来た。
「……悠仁は生き返ったけど、Aはまだ起きてない…………
起きたら心配させた分、色々聞かせてもらうからね」
額に唇を落とし、部屋を出ていった。
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はみ゜(プロフ) - みゅーじっくさん» お好きにどうぞ〜!!使用する事をコメントに残していただければ、許可云々を求めなくても大丈夫ですよ!ありがとうございます!! (2020年11月12日 22時) (レス) id: edbe22807d (このIDを非表示/違反報告)
みゅーじっく - こんにちは!ユニーク魔法の「あやつり人形」を私が今書いている小説内で使用してもよろしいでしょうか? (2020年11月12日 19時) (レス) id: 4369581b15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はみ゜ | 作成日時:2020年9月15日 8時