1 ページ1
.
「はーい、さやかちゃん本指ロングね」
重い腰を上げて自分の持ち部屋に向かう。
必要な物をカゴに入れて、
Aという名前を捨てて、
さやかちゃんの私が生まれる。
部屋に入って、ベッドにタオルをひく。
お茶を用意して、お風呂のお湯をためて。
鏡で容姿チェック。
ムダ毛もついでに。
赤い濃いリップをつけてもどうせすぐ落ちる。
でもこうしていないとさやかちゃんは完成しない。
コール音が鳴る。
「さやかちゃん、また会えて嬉しいよ」
そう言いながらニコニコして近づいてくるおじさんを受け入れる私。
あぁ、金が来た。金が。
.
.
フーゾク、を始めたのは18歳。
大学受験に失敗して自暴自棄になって家出。
ド田舎から右も左も分からないトーキョーに来てまず最初に探したのはアルバイト。
お金が欲しかった。
働いても働いても足りない。
たまたま歌舞伎町をフラフラ歩いていたらスカウトに声を掛けられて、なんとなく始めてみたわけで。
短時間で効率よく稼げる。
サイコーじゃん。
源氏名の「さやか」はスカウトがつけてくれた。
意味は知らない。
この世界で生きていくには勿体ないくらいいい名前で、
正直Aよりも好きになった。
病院にかかるときや、何か名前を書かなきゃいけないときに間違えるほど「さやか」は定着していった。
この事はもちろん両親は知らない。
知ったら当然悲しむだろう。
与えられた名前を捨てて生きているなんて
私は親不孝者だ。
1825人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mnnduu(プロフ) - 更新楽しみにしてました♪ (2020年12月23日 22時) (レス) id: de3adefd3d (このIDを非表示/違反報告)
mun(プロフ) - 他G担なんですけど、この目黒君、もうさっそくカッコいいです...なんか夢主さんが羨ましいです... (2020年12月23日 19時) (レス) id: 47fbcf161a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みつまめ | 作成日時:2020年12月18日 0時