わたしはテレビを見ない。３

○ . 誰かに言いふらすこともないだろう ページ14

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無事物件が決まった。
契約し終わって不動産屋を出ると、「姫？」と声をかけられる。


…あべちゃんだ。



阿「こんなとこで何してるの？」

マスクをしていてもこの人は顔が良い。
オフなのかな？

『んー、仕事？』
阿「なんで疑問形？笑」
『なんでかな？』
阿「…引っ越すの？」


鋭い。まぁこんなとこから出てきたら誰でも分かるか…


『あべちゃんには嘘つけないね』
阿「その感じだとふっかには内緒だね」
『ご名答！』


するとあべちゃんは寂しく笑った。


阿「照の件もあったからね…」



『Snow Manにこれ以上迷惑かけらんないよ』
阿「目黒には言った？」
『言ってない。…言った方がいいかな』
阿「第三者の口から聞くより姫が話した方がいいんじゃない？」
『だよね……』
阿「目黒よりもふっかの方がダメージ大きいと思うけどね、笑」


そりゃそーだ。一緒に住んでんだもん。





その場であべちゃんに契約した物件の書類を見せる。
まああべちゃんなら口かたいだろうし、誰かに言いふらすこともないだろう。


阿「へぇ、いいとこだね」
『1人で住むには十分だよね』
阿「いつから住むの？」
『んーと、来月頭っくらいかな。引越し業者暇みたいですぐ手配出来たよ笑』
阿「ね、このまま俺たちと疎遠になろうとか思ってないよね？」


『…え』


わたしはいつでも心の中を見透かされてるみたい。
この引越しを機にいろんな関係を清算しようと思っていたのは事実。
気持ちに蓋をしているのも、いずれこういう日がくると思ってたから。



阿「それは姫、絶対出来ないと思う」
『なんで？なんでそう言いきれるの？』









阿「…俺たちが忘れらんないから」









そう言うと人気の無い路地裏に連れて来て、わたしをそっと抱き締めた。

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