わたしはテレビを見ない。 (ページ42)

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○ . 定番のおでこにチューページ42

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退院してすぐのことだった。

目「一緒に住もうよ」

蓮がとち狂った提案をしてきた。
わたしは迷わず首を横に振った。

…松葉杖生活が終わるまでは、
蓮がわたしの家に来てくれることになった。
仕事終わりに寄って、朝帰る。
おかげでわたしの部屋に蓮の私物がコレクションされている。

『ダメでしょデビュー決まって注目されてるんだから、記者がそこら辺嗅ぎ回ってたりするんじゃないの？』
目「だってこのままだと誰かに取られちゃいそうなんだもん」
『誰かって(笑)そんなことないのになぁ』

何度も言うけど、わたし達は付き合ってない。
同じベッドで寝ても何も無いし、
お酒を飲んでもそんな雰囲気にはならないし。

強いて言うなら定番のおでこにチュー、くらい。

目「俺、ふっかさんにだけは絶対取られたくない」
『ふっかはわたしのことそんな風に見てないよ』

鼻で笑うと蓮は更に心配そうな顔で見てくる。

『そんな目で見ないでよ』
目「なんで気付かないの？」
『何が？』
目「ふっかさん、Aのこと好きだよ？」

言われてもピンとこないのは、わたしが鈍感なせいかなぁ。

ふっかはマブダチみたいなもので、特別な感情は抱いてない。
それはふっかも一緒だと思ってた。
てか、今でも思ってる。

『ふっかも蓮もアイドルだから、
間違ってもそんな関係にはならないよ(笑)』
目「俺とも付き合ってくれないんだ」
『そりゃないよ～』

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珍しく蓮が日付を回るちょっと前に帰った。
その後数分経ってからふっかが押しかけてきた。

深「やーっとあいつ帰ったか」
『今日は込み入った話があったのよ
てか蓮が帰るの見計らってたの？』
深「んや、俺さっき散歩しててさ。家の前であいつに会ったの」
『ふーん。んでこんな夜中にどうしたの』

お茶を淹れようとすると、「あ、いいから」と手を止められる。

深「んー？暇だったからさ」
『寝なよ(笑)』
深「寝ようと思ったけど寝れねーの！
だから深夜徘徊してきたわけよ」

ナハハ、と笑うふっか。
深夜徘徊っておじいちゃんかよ……

部屋着スッピン姿を晒すのはもう慣れた。
寝支度バッチリのわたしは寝る気で満ち溢れてる。

『わたしはもう寝るけどね～
だからふっかも早く寝な？』

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深「…一緒に寝よーよ」

男の顔してるふっか、初めて見たかも。