狂犬くんと狂犬ちゃん3【今日俺】 (ページ27)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:258,215 hit

狂犬122匹ページ27

・

「三橋を討ち取りましたｧｧｧ!!!」

『うそ……ｯ』

信じ難い言葉が響き渡った

自分の耳を疑った、皆そうだった

それでも

ヅカヅカと廊下の真ん中を歩いてくる開久の手には

血だらけのみっちゃんが引きずられてて

『みっちゃん……？』

思わず呼びかけるも返事はない

……これ、血？？？

血……？？血、なのか……？

そんな風に疑問を持ち色々考えていると

開久を中心にどよめきが起こる

何事かと思ってそっちの方を見てみると

「さぁぁぁぁんちゃーーーーんパァァァァァンチ！」

銀髪オールバックを殴りあげる金髪

「三ちゃんｯ……！」

「おせぇよ……あのヤロー！」

『みっちゃん!!!』

倒れて起き上がらない相良さん

ちゃんと

ちゃんと話をしなきゃ

そう思い近づこうとするとガシッと腕を掴まれる

いとーくんによって

『いとーくんｯ……離して』

「ごめんね、Aちゃん

離せないや」

行かせてあげられない、と言われる

『ちゃんと、ちゃんと話さないとダメだから』

何度お願いしてもいとーくんは離してくれなかった

こんな時まで頑固じゃなくてもいいんだよ…

私といとーくんがそんなやり取りをしている間に
みっちゃんは奪われたお金を取り返し

「みんな帰るよ～！」

明るく手を挙げながら声を上げる

「行こう、Aちゃん」
「とりあえず、帰ろう？」

いとーくんと理子ちゃんにそう言われ

振り向いたら、また話したくなるかもしれないから

後ろ髪を引かれる思いでみんなの後を追う

一番後ろで、振り向きたい気持ちを抑えて

するとみっちゃんが前の方から戻ってきて

「これで俺が千葉最強だかんなぁｯ!!!」

あぁ……みっちゃんはこんな時までカッコイイのか

生徒玄関なるものから外に出て

みんなスッキリした顔

「A、忘れろ」

『……そうだね、』

なんて忘れることなんてできないけど

前に進まないと

皆、これで終わったと、全て終わったのだと思った

まさか…まさか、ここからが正念場だなんて誰も思わなかった

想像もしなかった