話をして兄さん (ページ22)

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「こっちだ」

俺はかつきを送り届けることになった。
確かに送られる側だとは思うが、送るのは俺の仕事じゃない。ヒーローや警察の仕事だろ。
…くそ余計な事を言わなければよかった。

『一人で帰ろよ…帰れるだろ』

「無理」

『くそガキ…』

調子に乗りやがってぶん殴るぞ。

「………もう敵来ないよな」

………そーいうことか。最初からそう言えよ。
言えば快く送ってやったのに。

『……それはあいつら次第だろ』

「っ………」

俺の数歩前を歩いていたかつきは足を止めたが気にしない。

大丈夫

俺が居る。心配することなんてなんもない。一度助けたんだ。二度も三度も変わりゃしない。
助けて欲しいなら助けてやる。何度でも。

すれ違いざまに止まったかつきの手を取り
今思った事を言ってやろうと口を開くが恥ずかしさが勝ち言うことが出来ない。

ヒーローじゃないのに出会ったばかりの奴に言う言葉でもない。

『…大丈夫』

「…………何がだよ」

『……俺が助けてるよ…勝己がそれを求めるならな』

俺はヒーローじゃない。一般市民だ。

本当はヒーローの為に時間稼ぎしたわけじゃないんだ。棒立ちヒーローにムカついたからいかに、お前らは

馬鹿で

無能な

ヒーローだって事を見せつけてやろうと思っただけなんだぜ。

俺は

偽善者なんだよ勝己。

だから

だから

そんな目で見ないでくれ。