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「無惨さま、どうして部屋にお入りにならないのでしょうか」
つっ立ったままの無惨さまに声をかけると、無惨さまはようやく部屋に入ってきた。私はいそいそと無惨さまに王様イス(存在感がすごいかつ座るとふかふかして最高なのでそう呼んでいる)を薦める。無惨さまは王様イスに腰掛け、足を組むと、私に近寄るよう合図した。
私がよろよろ近寄ると、イスのそばに座るよう言いつけられる。無惨さまの足元で膝をたてると、ちょうど私の顎のあたりに無惨のお膝が。今度は膝を指先でとんとんとつつくので、私はそこに顎をのせた。
「…………？」
どんな意図があるんだろう。私がちょっと小首を傾げてみせたら、無惨さまはなぜか、ホッとしたように頬を緩めた。
「まるで犬だな」
「えっ！」
「従順なのは褒められるが、決して他の奴にはしてくれるな、よ」
よ、のところでわきのあたりに手をさしこまれ、そのまま猫みたいにびろーんと持ち上げられ、無惨さまの膝の上におしりから着地した。
「無惨さま、細いのに力持ちですね！」
無惨さまは自分の腕を見ながら片眉を上げる。私が無惨のさまの腕を触ってみたら、急にそれがむくむくと太くなっていって、服がみちみち音を立てて破れた。
「わぁ！ 急に筋肉質に！ これも血鬼術ってやつですか？」
「まあ、そうだな」
無惨さまは長いまつげを伏せ、どこかをぼんやりと見つめる。しゅううう、と空気が抜けたみたいに無惨さまの腕がもとの太さに戻る。無惨さまは前髪をぐっとかきあげると、私と視線を交わらせ、少し細めた。
「……Aも使えるようになりたいのかね？」
「あ、私は大丈夫です」
即答する私に目を見張る無惨さま。
「なぜだ？ Aのように小さくて弱々しいのならば尚更、強くならなければすぐに死ぬぞ」
眉を寄せる様子に、私はからから笑った。
「心配してないですよ、そこに関しては。だって、無惨さまが守ってくれるでしょう？」
言葉に、殊更目を見開く無惨さま。私がにししと笑うと、無惨さまはふっと呆れたように笑って私の額をつついた。
「他力本願な犬だな」
「もちろん、私も無惨さまを守りますとも！」
「Aが、私を？」
「ええ、もちろん！ なので、悪夢とか見るときは言ってくださいね。子守唄を歌いますから」
言って、ふんふん歌を歌って見せたら、無惨さまはほどけるように笑っていた。
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モブちゃん - 無惨様、優しい！マジで素敵な作品です。更新、頑張ってください。 (2020年11月8日 21時) (
レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
かめ(プロフ) - 無惨様大好きです！というか鬼陣営好きすぎるので、鬼贔屓な作品は本当に嬉しくて…しかも内容も面白く！素敵な作品ありがとうございます！ (2020年7月6日 22時) (レス) id: 0b12b82150 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 好きですありがとうございます (2020年4月25日 3時) (レス) id: aef362accb (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - そこらへんの小説なんかより面白すぎて泣いてます…天才ですか…？！ (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2bb340e5dc (このIDを非表示/違反報告)
hina - ああああああ神なんですか!?いや神なんだよねそうに違いない (2020年1月20日 18時) (レス) id: c01e14d75d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりんの木
| 作成日時：2019年10月22日 21時
