第四十話 ページ41
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二人で挟み撃ちだなんてズルい。
私は目隠しをされ、椅子に両手両足を縛られた状態で、悔しさのあまり唇を噛んだ。決意をしてから二度目の失態を犯すまで、あまりに早すぎる。
「＿＿親分、本当にこんな冴えない娘がアイツの弱点なんすか？」
どこか頼りない声、呼称からするに身分の低い人間らしい男がそう私の斜め前で言った。どうやら私を見張っている人物らしい。親分、と言われた人間は鼻で笑って子分のことを引っ叩いた。ぺしん、と軽い音が響いて、子分の小さな痛みを訴える声が後を追う。
「そうだ、この女で間違いない。奴らのアジトに出入りしている女だ」
「じゃあコイツを捕まえればボスの右腕を殺したアイツが来るわけですね」
アイツ、とはトムラさんのことだろう。そしてボスの右腕はおそらく、以前私と荼毘さんを襲ったあの男。会話から察するに、私はトムラさんを誘き出すエサとして攫われたらしい。
親分と子分が私のことをしばし忘れたように、散々にトムラさんを馬鹿にするような言葉を交わすので、思わずムッとした。
貴方たちなんて、トムラさんすぐにやっつけるから。私はトムラさんが強いかどうかとかは良く分からないけれど、きっと強いのだ。
と、そこまで考えて私はゾッとした。
私は私のために、トムラさんの手を汚させることを躊躇っていないということに気がついてしまったのだ。
息を潜めて、小さく震えだした私に親分と子分の興味が向いたらしかった。私の張り詰めた感情を煽るような言葉と息遣い。私はぐっと唇を噛み締めて、涙だけは流すまいと耐えた。男たちが私の身体を無遠慮に触る。嫌だ、と思った。嫌だ嫌だ、触らないで。
＿＿でも、嫌なのは、もっと嫌なのは、トムラさんに頼り切っている私自身だ。トムラさんが解決してくれると甘えきって、嫌なことをトムラさんに押し付けて、私は綺麗なままでいるのか。
「……さ、触らないで」
ぽつり、小さく呟いた。親分と子分は手を止める。私の声は震えていた、怒りで、恐怖で＿＿愛で。近づきたかった、トムラさんに、一歩でも。挽回したかった、自分の失態を。
「今すぐにその……き、汚い手を離しなさい！」
こうやって逆らうことが逆効果になるだなんて分かっていたじゃないか。私は殴られ、椅子ごと倒れ込んだ状態で思う。口の中に血が滲んで痛い。だけど涙だけは、どうしても流したくなかった。
「この女、静かにしてたと思ったらバカにしや＿＿」
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ちゃこ(プロフ) - うぅ…好きです！！今なら私も花咲かせられそうです😭！前から気になっていた弔くん…無事推しになりましたありがとうございます！！ (2022年5月25日 5時) (
レス) @page50 id: e4e61dc8c5 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！最高でした！ (2020年8月18日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
弥生 - はなかっぱ… (2020年2月4日 3時) (レス) id: 86c077b51d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - すごく良かったです！！！死柄木君の小説は初めてだったんですけど、もう最高すぎました！！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - 完結おめでとうございます！最後までキュンキュンさせていただきました！！ 占ツクを徘徊していた時に、とんでもなく良いこの作品を見つけてからは、ずっと応援していました(´ω`*) もちろんこれからも応援しています、頑張ってください！！ (2019年8月25日 22時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりんの木
| 作成日時：2019年6月13日 19時
