第十七話 ページ18
*
「とーっても、カワイイのですっ！」
扉を開いた先に制服を着た女の子がいて驚いた。さらにその子に鼻と鼻がくっつく距離まで近寄られて驚いた。その上そんなふうなことを言われてなおのこと驚いた。
興奮したように爛々と弾む瞳を見つめ返すと、うっとりしたように細められた。
「君も敵連合の子ですか？」
抱きつかれ、頬ずりされながら答えられない私はトムラさんを探す、も見つからない。どこに行ってしまったのか、キョロキョロ見回していると、私に抱きつく女の子の手にナイフが握られているのを見つけた。
「っ……！」
たくさん驚いた今日だけど、ナイフの存在にずば抜けて驚いてしまった私は慌ててその女の子から離れようとして、背後によろめいた。
「あ……」
転ぶ、と思ったとき、背中にまわされた力強い腕に抱きとめられた。
「……なんだ、このポンコツ」
びりびりと声が振動になって背中に震えを伝える。いつの間にか目の前の女の子はナイフをしまっていて、背後の腕のあたたかさを認識すると、私は硬直していた肩をほぐして、息を吐き出した。
「あ……りがとうございます」
振り向いて抱きとめてくれた男の人に力なく笑いかけると、男の人は片眉を上げた。
「……お前、ほんとにアイツの仲間？」
そう言って黒霧さんのほうを指差すので、私は曖昧に笑った。黒霧さんの顔がちりりと揺れる。この場にトムラさんが居ないことを不安に思うと同時に、どこか安心してしまった。
「私は……家政婦、です」
男の人は納得したのか、それともさしたる興味が沸かなかったのか、気のない返事をして、私から手を離した。
「ねぇねぇ、家政婦ちゃん、名前なんていうの？」
女の子に詰め寄られ、私はたじろいで一歩離れながら、自己紹介の前独特の気恥ずかしさを頬に乗せた。
「花房Aです」
「Aっていうんだね、よろしく！ 私はトガ、トガヒミコ！」
気がつけば女の子は再びナイフを手にしていて、その鈍く光る刃先をしっかりと私に向けて、悪びれもなく笑った。
「貴方の血、ちょーだい！」
ぎょっとした私の目の端に黒い穴が現れて、それに吸い込まれると同時にトガと名乗った彼女がナイフを振り下ろした。
あぁ、と残念そうな声を少しだけ離れた位置で聞く。私は小さく震えながら、目の前の黒い影にそっとしがみついた。
「く、黒霧、さ……」
はらはらと、私の頭から絶え間なく紫の花びらがこぼれ落ちた。
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ちゃこ(プロフ) - うぅ…好きです！！今なら私も花咲かせられそうです😭！前から気になっていた弔くん…無事推しになりましたありがとうございます！！ (2022年5月25日 5時) (
レス) @page50 id: e4e61dc8c5 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！最高でした！ (2020年8月18日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
弥生 - はなかっぱ… (2020年2月4日 3時) (レス) id: 86c077b51d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - すごく良かったです！！！死柄木君の小説は初めてだったんですけど、もう最高すぎました！！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - 完結おめでとうございます！最後までキュンキュンさせていただきました！！ 占ツクを徘徊していた時に、とんでもなく良いこの作品を見つけてからは、ずっと応援していました(´ω`*) もちろんこれからも応援しています、頑張ってください！！ (2019年8月25日 22時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりんの木
| 作成日時：2019年6月13日 19時
