第四十五話 ページ46
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お客さんが到着しているらしい、との知らせをお仲間さんから受けて私は焦った。特に何か言われているわけでは無いけれど、お茶くらいは出さないとマズいだろう。外にごみ捨てに行っていた私は慌てて応接間へと向かった。しかしさすがはヤのつく組織の応接間。地下の迷路をうねうねと通らなければならないので、私の監視を頼まれたらしいお仲間さんと一緒にヘロヘロになって走った。
そうしてようやく到着したときにはすでにお客さんさんとの話は進んでいるらしく、廊下に若頭の声がかすかに届いていた。私は応接間に入る前にお茶を用意すると、なるべく音をたてないように部屋に入ることにした。頭を下げ、足元に視線を向けながらテーブルへとおずおずと近寄る。
「……若頭、お茶です」
は？ と声が聞こえた。それがよく知った声だったので、私は顔を上げた。はりついた手のひら、向こう側に見える赤い瞳。私は何度も瞬きをした。もしもこれが私の都合の良い妄想で無いのだとしたら、今私の目の前にいるのは……トムラさん？
「……おい、お茶は要らないから下がれ」
突然若頭に手首を掴まれ、呆れた様子で自身の座るソファの背後に誘導される。私はお茶をこぼさないようもつれる足でなんとかバランスをとった。クロノさんが支えてくれた。
そしてひと呼吸おいて顔を上げる。
やっぱりソファに座って、お行儀悪く机に足を乗せているのは、紛う事無きトムラさんだった。トムラさんは私よりも驚いた様子で、私を凝視している。そして赤い目を細め、低い声で聞いてきた。
「……なんでAがここに居る？」
「……誰かさんにクビにされたので」
私が拗ねたように答えると、トムラさんはため息を一つ吐き出した。そうしておもむろに立ち上がり私の方へ近寄ると、そのまま私を担ぎ上げた。ぐん、と上がる視界、驚いてトムラさんの肩や首に手を回すと、トムラさんは少しだけ気分が良さそうに私の腰にまわす手に力を込めた。
「こいつ連れてくから」
「えっ？！ ちょ、トムラさん！」
「そんで床にお茶をまいたからこいつはクビ」
床にこぼれたのはトムラさんがいきなり抱き上げたからだ。私は非難の意味を込めてトムラさんの瞳を見つめると、赤いそれがふっと暗く細められて、私は全身が粟立つように感じた。
独占欲の滲む赤、怒りと表裏一体の愛。その目をずっと見ていたいと私の細胞が希う。私は浅く息を吐くと、彼に触れる指先に、無意識に力を込めていた。
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ちゃこ(プロフ) - うぅ…好きです！！今なら私も花咲かせられそうです😭！前から気になっていた弔くん…無事推しになりましたありがとうございます！！ (2022年5月25日 5時) (
レス) @page50 id: e4e61dc8c5 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！最高でした！ (2020年8月18日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
弥生 - はなかっぱ… (2020年2月4日 3時) (レス) id: 86c077b51d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - すごく良かったです！！！死柄木君の小説は初めてだったんですけど、もう最高すぎました！！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - 完結おめでとうございます！最後までキュンキュンさせていただきました！！ 占ツクを徘徊していた時に、とんでもなく良いこの作品を見つけてからは、ずっと応援していました(´ω`*) もちろんこれからも応援しています、頑張ってください！！ (2019年8月25日 22時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりんの木
| 作成日時：2019年6月13日 19時
