幻想のゲーム (ページ6)

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5話彫刻師ページ6

クロードさんに頼まれ、連れて行った先にあったのは、女性の彫刻だった。
「これが見たかったのですか？」
「えぇ、そうよ！あ、自己紹介が遅れてしまったわね！私はガラテア・クロード『彫刻師』なのA、貴方はどんな人なのかしら？」
「ワタシは軍人ですよ。祖国のためにその命を捧げ敵国の人間を殺していました。」
　あえて、少し棘があるような言い方をした。
　もしもゲームが一つの椅子を争うような内容であった時、彼女との交流は邪魔なものになると考えたからだ。
「あら！そうだったのね！どうりで筋肉質な体だと思ったわ！」
　そう言って、彼女はワタシの腹部を指でそっとなぞる。
「外からはあまり目立たないけど、綺麗な付き方をしているわ」
「……セクハラで訴えてしまいそうです」
「まぁ！意外と乙女なのね！でも安心してちょうだい私は貴方をそのような目で見ていないわ！」
　彼女は笑いながらそう告げる。
　それはそれで結構だが、そのようにはっきりと言われると少々複雑なところもあるため、ワタシはその言葉を素直には受けいれられず「ワタシもあなたのような子供に興味はありません」と言ってしまう。
　バタンッとうしろで何かが倒れる音がして、ワタシも彼女も振り返る。
「痛ッ……！くぅ……！！あ、ち、違う！！盗み聞きするわけじゃなかったんだ！！ボクはただ通りすがって……
　あぁ、そうだ！ボクはトレイシー・レイズニック……！機械技師だよ！」
　クロードさんは、「まぁ！」とご機嫌そうに笑っているが、ワタシは特に何も反応ができなかった。
　そのせいで怖いという印象を与えてしまったのか、レイズニックさんが頑張って張りつけた笑顔は次第に崩れていく。
「あら、Aそんなに怖い顔をしたら怖がらせてしまうわよ！ほら！笑って！！」
　クロードさんはワタシの頬を無理やり引き上がらせる。
「やめてください、痛いです(やめてくりゃひゃい、いひゃいれす)」
　本気で痛いから訴えているが、クロードさんは楽しそうに笑って、レイズニックさんは変な顔だな！っと満面の笑顔を作っていた。