幻想のゲーム (ページ12)

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10話シンユウページ12

「断る」
　彼の口から放たれた言葉は、私にとっては予想外のものだった。
　え？ ……え？今なんと言いました？
　なぜの誘いが断られたのか理解ができなかった。
「シンプルにお前みたいなのは嫌いな方だし、お前は裏切りそうだから協力したくない。」
「き、嫌い？貴方、これはそういう問題じゃないでしょう！？」
「いや、そういう問題だ。俺はお前が嫌いだからお前を蹴落としてでも生き残るぞ。だから、お前は俺を信用するな」
　その言葉、ワタシは聞き覚えがあった。
　過去に自分が言った言葉だ。
『ワタシを信用しない方がいいでしょう。ワタシ、生きる為ならば仲間を蹴落としますので』
　これは、半分冗談半分本気で同僚に言った言葉だった。
　だが、その言葉の真意はワタシを信じて死んで欲しくないからだった。ワタシを信じ行動し、背中を預けたことによって死んだ仲間は何人もいた。幾度の戦争で生き残ったから、皆ワタシを勘違いしているだけだった。ワタシを買いかぶらないで欲しい、そんな思いで言った言葉だった。
　もちろん、彼がそんな意味でこの言葉を言ったとは限らないが、ワタシはそう解釈することにした。
「ふふっ、でしたらワタシ達はシンユウですね」
「シン……ユウ？なんだそれ、初めて聞いた言葉だな」
「新しい友達という意味です、アジア圏の言葉ですからグルカ兵には分かりませんでしたか」
「おい、いつ友達になると言った？お前は俺の話を聞いていたか？」
　グルカ兵はキャンキャンとワタシの目下で喚いている。うるさいのは変わりないですが、シンユウと称するだけでこのやり取りが少し楽しく感じますね？
　楽しい……？
　そういえば、ワタシは今日、今まで以上に感情的になることが多かった気がする。
　楽しい……楽しいですか、これはとても素晴らしい気分ですね。
　荘園の主よ。ワタシになんでも差し出せるのでしたらこの時間をワタシの飽きるまで続けさせてください……なんてわがままは、さすがに無理ですかね？