貴方はどの執事と恋をする？~7~

▽ ページ9

.









完全にアルコール入ってるな、としか思えないような彼が堂々と言いのけたその言葉に。

私自身、呆気に取られました。






周りはヒューヒューはやし立てるし。

メンディーさんなんか、お嬢さま生きてるー！？なんて運転しながら心配してくれるけど。






……余計なお世話だよ。

生きてます。生きてますけど。






何この不意打ち！！！

急に可愛いって、なに！？






A ｢ななな、なんでそんな……｣

玲於 ｢隼が言ったから、俺もびんじょーして｣






びんじょーして……？

あれか…あの、お酒に呑まれたノリってヤツか？





涼太 ｢玲於も積極的だねー｣

隼 ｢の割には顔赤いけどね！｣

玲於 ｢うっせ！｣






顔赤い……？

それは、アルコールが入ってるからでしょ？






玲於 ｢……見んな、バカ｣

A ｢うわっ、｣






急に暗くなった視界。

目元に感じる、大きくてゴツい佐野さんの手のぬくもり。







顔が赤いのはアルコールのせいだよね……

だから変な事言ってるんだよね……？






そう思わなきゃ、心臓が止まりそうで。







玲於 ｢……っ｣

A ｢佐野さん……？｣







その手から解放されて、彼の顔を覗き込めば。






それはそれは、もう真っ赤。

どんだけテキーラ飲んだのよ、ってくらい真っ赤。






玲於 ｢あー、見んなバカ｣

A ｢バカじゃないもん｣

玲於 ｢そーゆーこと言うな｣

A ｢そーゆーことってなに？｣

玲於 ｢……｣






とうとう佐野さんは口を聞いてくれなくなって。

そっぽを向いて、窓の外を眺め始めてしまった。






……なんなのよ。

可愛い、とか変なこと言い出したのは佐野さんの方なのに。






ふん、とムカついてると。

さっきまで佐野さんがグイグイ飲んでたシャンパンが私の視界に映る。







A ｢ノン、アルコール……｣







神に誓っても、ノンアルコールなのか。

自分の目で確かめたくなって、そのシャンパンを手に取りラベルを見れば。







『ノンアルコール』の文字。







A ｢……｣

祐太 ｢お嬢さま、どーかした？｣

A ｢へっ？……あ、なんでもない｣







いや、何でもなくないです！！







だってこれ、ノンアルコールのシャンパン……。







A ｢アルコール入ってないじゃん…｣









.

▽→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す