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玲於 「ごめんな、敬浩さん 俺らよりもずっと上のランクの執事なんだ。
だから、むやみやたらに殴ったりできねーんだよ」
泣きすぎて うまく息ができない私の背中を
優しく撫でながら。
ただ 分かってほしい。
そんな気持ちで、私の体を より一層強く抱きしめてくる。
その度に 彼の匂いが。温もりが。
ぐっと強くなって。
A 「……だい、じょうぶ」
玲於 「え?」
違うんだよ、佐野さん。
確かに怖かったけど。
敬浩さんのことが全て
この震えに繋がってるわけじゃなくて。
むしろ この溢れてくる涙は
……佐野さんのせいなんだよ。
玲於 「どーした?」
A 「……なんでもない、です」
玲於 「は?」
抱きしめていた体をグイッと離して
私を見つめてくる。
玲於 「なんでもないって何?」
A 「……っ」
玲於 「嘘つくなよ」
じっと、その強い瞳に囚われれば。
やっぱりあの日みたいに。
逃げることなんかできなくて。
A 「……悲しかった」
玲於 「何が?」
A 「敬浩さんが、『もしかして玲於の彼女?』って聞いた時、そんなわけないじゃないですか……って」
玲於 「……」
強い瞳から必死で逃げて
伏せがちに、そう たどたどしく言葉を発する。
A 「……佐野、さん?」
玲於 「……」
そらした目をまた彼に向ければ
驚いたように さっきよりも大きな瞳で私を見つめくる佐野さんがいて。
……どうして、何も言ってこないの?
言えよって顔してたの 佐野さんの方なのに。
玲於 「……はぁっ」
大きなため息がしたと思ったら
またぐいっと手を引かれ、ぽすんっと飛び込んだ彼の腕の中。
ふわりと香った愛しいソレが、胸の中でいっぱいになる。
玲於 「……なんでそんなこと言うの」
A 「え……?」
玲於 「抑えられなくなる」
苦しそうに 声を絞り出す佐野さん。
その度に 抱きしめる力は強くなる。
胸が苦しい────…
どうして、こんなに苦しいのか分からないけど。
ただ、ひとつ分かるのは……っ。
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モン(プロフ) - GENEのおめでたい日に私は入試です!何か縁があるのか…?頑張ってきます(^^) しょこらさんのお話も読めたし高まってます!!!! (2015年11月21日 7時) (レス) id: fa9bc56b37 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんぷー - そーなんだよー!! でもジェネかるた本当に商品かしてくれないかな〜 (2015年11月15日 9時) (レス) id: 76f3550fbc (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - ないのか〜!( 笑 )譲ってもらいたかったくらいだよっ( 笑 )んふふ、ジェネかるた的なやつね、格言言わなきゃ!( 笑 ) (2015年11月14日 12時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
にゃんぷー - だしょーww でももう無いんだよねー残念ながらww 「メンディーの嫉妬は地を要するもの」って何か格言みたいww (2015年11月14日 8時) (レス) id: 76f3550fbc (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - narさん» ああああ!!そう言って下さるnarさんが私は大好きですぅぅぅ!(笑)玲於が好きだなんて〜、運命感じちゃいますねっ、ふはっ!(笑)移行後もよろしくお願いします!(笑) (2015年11月14日 0時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょこら | 作成日時:2015年11月5日 19時