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脳内で諭吉が羽を生やして飛んでいくのを想像したら、途中で意識も飛びそうになった。
隼「大丈夫ですかっ」
貴「あ、ごめん…」
隼「も〜焦らせないでくださいよ〜」
お嬢さまのバカっ!なんて、チャーミングな笑顔でそう言ってくるから。
バカ、って言われても攻められなくて。
…弟って感じだなぁ、大きいくせに。
玲「ジュエリーっていくらくらいするんだろ…」
萩「あー、執事の給料じゃ厳しいかぁ。じゃあ、これとかは?」
そう言いながら、スマホで何かを見せる萩花さん。
画面をのぞき込む佐野さんの顔が、ぐっと萩花さんと近づく。
隼「近いわー」
メ「うらやましいんでぃー」
隼「古い」
メ「えぇっ!?」
貴「……」
ふざけ合う2人の声を聞きながら。
笑い合う2人を見つめる。
玲「えぇっ?これっすか?」
萩「そ〜!きっと喜ぶんじゃない?」
白い肌に、赤い唇。
薄桃色の頬、そして、長いまつげ。
どのパーツをとっても完璧で。
綺麗で、格好いいとかそんなんじゃなくて。
玲「…じゃあ、これしよっかな」
嬉しそうに笑う佐野さんの笑顔に。
…胸が、キューッと締めつけられて。
貴「なんだ、これ…っ」
違う。
これはそんなんじゃない。
そう考えれば考えるほど。
佐野さんの顔が浮かんでは、消えて。
隼「お嬢さま?」
貴「…へっ?」
メ「玲於、もう終わったみたいですよ」
貴「あ…うんっ」
テラスには、もう萩花さんの姿はなくて。
代わりに突っ立っている佐野さんの背中。
貴「佐野さん」
玲「時間稼ぎにはなりましたよね?」
貴「うんっ」
玲「よかったー」
演技うまかったしょ?なんて微笑む佐野さんが、すごく好きなんだ。
貴「え…」
玲「ん?」
いま、私なんて思った?
思わず浮かんだその二文字に、頭が真っ白になる。
隼「お嬢さま?さっきからなんか変ですよ?」
メ「大丈夫ですか?」
玲「…A?」
貴「…ううん、大丈夫」
必死に取り繕う笑顔。
でも、その表情の裏にはね。
色々な思いがあるの。
…それを、君たちはまだ知らない。
貴「帰ろっか」
隼「帰ろ帰ろ!」
玲「俺、涼太くんから唐揚げもらおー」
メ「おつかれ、玲於ちゃん♡」
玲「…きっも」
そんな君の横顔を、私は見ていた。
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しょこら(プロフ) - 妃菜さん» 6の方にもコメントしていただいて、本当に嬉しいです!よかった〜、藤井姉妹の恋愛事情、少し長めに続いたので自信なかったんですよ……好きって言ってくださって本当に嬉しいです!これからもご贔屓によろしくお願いしますっ( 笑 ) (2015年11月16日 21時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
妃菜 - 最初から楽しみに見てます!特に藤井姉妹の恋愛事情が好き!ほんとに面白いです!頑張って下さい (2015年11月16日 16時) (レス) id: 1be76d0023 (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - narさん» 王様ゲーム!ゾクゾクしますねぇ…( 笑 )了解しました!では楽しみに待っていてくださいね! (2015年10月25日 12時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - はーるさん» ありがとうございますっ!了解しました〜!では、楽しみに待っていてくださいね!! (2015年10月25日 12時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - ぴよこさん» 旅行ですかっ!!新しい発送っ!!少し長くなってしまうかもなので…それは後日、本編に盛り込む形にさせてもらってもよろしいでしょうか?? (2015年10月25日 12時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょこら | 作成日時:2015年10月15日 23時