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萩「…よくここまで分かったね」
ポツリと呟いた萩花の一言に、Aさんの眉毛がぴくりと動く。
涼「姉妹がドーナツを持ってきてくださった時、俺聞いてたんです。
萩花さまが龍友くんに、耳打ちしてるところ」
貴「その内容と、今までの萩花さんの行動を合わせたら、もれなく一致した迄です」
萩「…ふーん。
なら話は早い」
ずいっと私に顔を寄せて、口元をニヤつかせた。
萩「私に協力して」
貴「協力…?」
萩「夏恋を守るためなの。そこまで知ってるなら協力してくれるよね?」
口元がにやついてる割には、その瞳の奥に潜むたいまつに灯る火は太陽のように激しく燃えている。
その瞳に映るAさんのも、戸惑いながらも真っ直ぐな表情。
貴「…私は、夏恋ちゃんの恋を応援するって約束しました」
萩「けどそれは夏恋のためにならない」
貴「それこそ夏恋ちゃんのためにならないと思います。
私は…夏恋ちゃんの意思を尊重したい」
そこまで聞いて、はぁっと萩花はため息をついた。
女性らしい爪についた紫色のマニキュアを、カリカリっと削ってる。
…これは、悩んでる時に出る癖だ。
萩「…夏恋の意思を尊重した結果が、龍友の事件だよ?」
貴「そ、それは百も承知です」
萩「嘘だね」
カタンと机に肘をつき、手に顎を乗せ、Aさんの目を見る萩花。
萩「夏恋のためにも、龍友のことは諦めてもらう」
貴「…それって、萩花さんにとっても都合がいいことですか?」
萩「…どういうこと?」
貴「萩花さんも、数原さんのことが好きなのかってことです」
え…萩花が、龍友のこと?
そんな、好きだなんて執事でもある俺ですら聞いたことないのに。
萩「そんなわけないでしょ」
貴「じゃあ、もっといい方法はなかったんですか?
今まで夏恋ちゃんの笑顔奪ってきて…。
夏恋ちゃんにとっての幸せは、数原さんと話すことでした。
少ない時間の中で、数原さんと話すことだけが、夏恋ちゃんの幸せだったのに…」
眉間にシワを寄せ、萩花に語りかけるAさんの目は。
本当に夏恋ちゃんを想ってる、そんな雰囲気が滲み出てて。
…真っ直ぐさなら、萩花以上に想いは強いんじゃないかなってくらい。
萩「…それは、一時の幸せでしかない」
けれど、夏恋ちゃんを想う気持ちは、萩花の方が断然強かった。
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しょこら(プロフ) - 妃菜さん» 6の方にもコメントしていただいて、本当に嬉しいです!よかった〜、藤井姉妹の恋愛事情、少し長めに続いたので自信なかったんですよ……好きって言ってくださって本当に嬉しいです!これからもご贔屓によろしくお願いしますっ( 笑 ) (2015年11月16日 21時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
妃菜 - 最初から楽しみに見てます!特に藤井姉妹の恋愛事情が好き!ほんとに面白いです!頑張って下さい (2015年11月16日 16時) (レス) id: 1be76d0023 (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - narさん» 王様ゲーム!ゾクゾクしますねぇ…( 笑 )了解しました!では楽しみに待っていてくださいね! (2015年10月25日 12時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - はーるさん» ありがとうございますっ!了解しました〜!では、楽しみに待っていてくださいね!! (2015年10月25日 12時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - ぴよこさん» 旅行ですかっ!!新しい発送っ!!少し長くなってしまうかもなので…それは後日、本編に盛り込む形にさせてもらってもよろしいでしょうか?? (2015年10月25日 12時) (レス) id: 231a26bcdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょこら | 作成日時:2015年10月15日 23時