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玲「うちのお嬢さまが申し訳ありません…」
己「いやいや、素直なのはとてもいいことです」
貴「だってよ、佐野」
玲「……」
直己さんに褒められ調子に乗った私。
佐野さんを呼び捨てにすると、あからさまに険しい顔をして、私を思いっきり睨みつけてくる。
楓「仲がいいんだね」
貴「あっ、いや、佐野さんが生意気なだけです!」
玲「生意気ってなんだよ」
己「玲於がそんなに自分をさらけ出してるの見たの、初めてだなぁ」
玲「…そんなことないっす」
口元を隠して俯く佐野さん。
あれ?
まさか照れてる?
貴「なーんで俯いてるんですかー?」
玲「うるさいっ」
貴「いたい!」
顔覗き込んだからって、殴ることないでしょー。
ふふっと上品に笑う楓に、その隣でにこやかに笑う直己さん。
お嬢さまと執事で雰囲気が似てるって、なんだか憧れるな。
楓「あ、Aちゃんの席はあそこね」
貴「はいっ!」
楓「あと、敬語はなし。同い年なんだから」
そう言って笑う楓さん。
敬語はなし、その言葉がすごく嬉しくて。
貴「...うんっ」
思わず、佐野さんの手を握ってしまった。
玲「...なに」
貴「え、や、あの」
なんでもない、とすぐさま手を離すと。
玲「よかったじゃん」
ぽんっ。
その手のひらが、私の頭の上に置かれた。
...昨日の夜と同じ。
あの感触のまんま、胸の奥がじんわり温かくなる。
玲「ほら、先生来る前に座れ」
貴「う、うん」
その手は離れてしまったけど、急かす佐野さんが面白くて、思わず笑ってしまった。
…なんてほっこりストーリーはその時だけで。
玲「1時間は歌のレッスン」
貴「歌?」
玲「そ。学園には年に1回、舞踏会みたいなのがあって、選ばれた人だけがそこで歌うことが出来る」
貴「えー、大勢の人の前で歌うのとか絶対無理」
玲「バカ言うな。これで選ばれた人は、卒業まで昼飯タダ」
貴「タダ!?」
未だ庶民魂が染み付いてる私の耳に入ってきた絶世の言葉に、いち早く反応する。
「ほら、座って座って」
すると、明らかに厳しそーな感じのおばさん先生が教室に入ってきた。
…ここって、どんな授業するんだろう。
歌って、普通音楽の授業でするよね?
わざわざ歌として授業を展開するっていうことは、それだけレベルが高いのかな。
貴「…絶対歌いたくない」
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いくら(プロフ) - ゆずかさん» ですよね!メイちゃんの執事大好きだから、作者さんも好きなのかなって思うと嬉しいです! (2018年4月2日 20時) (レス) id: d8925376b9 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - 聖マリア女学院ってメイちゃんの執事と一緒だ〜!作者さんも好きなんですか!? (2018年2月17日 22時) (レス) id: d8925376b9 (このIDを非表示/違反報告)
きんは - すごくいい!これからもがんばってください! (2016年1月30日 15時) (レス) id: 90acb15664 (このIDを非表示/違反報告)
りな - レオくんかわい^^ 臣くん・・・ これからも頑張ってください (2016年1月6日 14時) (レス) id: e859f2d3f1 (このIDを非表示/違反報告)
涼太らぶ(プロフ) - ですよね(笑)
読みます(笑) (2015年10月31日 23時) (携帯から) (レス) id: 221f02feea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょこら | 作成日時:2015年10月3日 2時