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Your side
声をかけられた女性に少し話そうと誘われ、
カフェへと向かった。
すぐに感じた違和感の正体は、彼女が聾者ということだった。
彼女は桃野奈々と名乗った。
過去に想くんから聞いていた彼女のことは、すぐに分かった。
" 手話、上手ですね "
｢あっ…いや全然｣
" そこの手話教室で習ってるの？ "
｢はい｣
" 想くんにも教えてもらってるの？ "
｢…はい、教えてもらって、ました｣
" 過去形？ "
｢あー…別れちゃって、最近｣
" 付き合ってたんだ "
｢…はい｣
そういうと、彼女の瞳は伏せられた。
何か言ってしまったのか、という焦りは、すぐに彼女によって発せられた言葉で理解ができた。
"私が想くんに手話を教えたの "
｢…はい、少しだけ聞いたことがあります。奈々さんのこと｣
" プレゼントを使い回された感じ"
｢…えっ｣
"好きな人に渡したプレゼント、包み直して他人に渡された感じ"
奈々さんは、想くんのことが好きなんだ。
彼女が大切に渡した、手話というプレゼントを私はもらった。
そんな言葉をかけられて、一瞬悔しさはあった。
ただ今は、奈々さんの気持ちが少しだけ分かってしまう。
" 想くん、どんな声してる？"
｢…声｣
" 聞いたことあるでしょ？どんな声？"
｢想くんの声は…｣
あたたかくて、優しくて、そのまま包み込むような柔らかい声。
だけど、どんな声なのって懇願するように尋ねてくる彼女に、
そう伝えるのはあまりにも酷だと思った。
だから、何も言えなかった。
" 電話したこともある？ "
｢はい…あります｣
" いいね、羨ましい "
奈々さんは、たまに夢に見る、と続けた。
" 好きな人と電話をして、手を繋いで声で話すの。
憧れだけど…恋が実っても、その夢は叶わない "
｢……っ｣
｢恋も、叶いそうにないけどね｣
奈々さんの瞳から、大粒の涙が零れた。
きゅっと胸が締め付けられて、視界がぼやける。
" …ほんとうだ "
｢え…？｣
" 想くん出会ったときに言ってた。大切な友達がいるけど、その子は耳のことを話すと泣きそうな顔をするから、話せないって"
｢……っ｣
" 貴方が羨ましい "
そう立ち上がった奈々さんの背中を、
追いかけることは出来なかった。
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まぴ(プロフ) - 作品の続きが気になります 話の続きが出るのを楽しみにしています！ (9月18日 14時) (
レス) id: 9ddcbdd8d5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ(プロフ) - 作品の続きが気になります。 (2023年4月8日 18時) (レス) @page26 id: 27e2541af5 (このIDを非表示/違反報告)
うるる(プロフ) - 続きが気になります（ ; ; ）応援しています！ぜひ続きをお願いしたいです (2023年2月9日 0時) (レス) @page26 id: 6ea538b075 (このIDを非表示/違反報告)
ZerA - すごく切なすぎて夢主がちゃんと幸せになれるかモヤモヤしています、、！！これからも頑張ってください！ (2022年11月18日 20時) (レス) id: e2320a25d7 (このIDを非表示/違反報告)
みいひ(プロフ) - こむぎさんの小説が一番好きです！これからも楽しみに待ってます☺️ (2022年11月11日 13時) (レス) @page11 id: 5bdf526915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎ
| 作成日時：2022年11月5日 22時
