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Your side


送られてきた住所通り、マンションまで到着した。

インターホンを押そうとする指は微かに震えていた。
走ってきたせいなのか、緊張からなのか。
目をぎゅっと瞑ると、肩をぽんと叩かれる。


「A、大丈夫、?」
「紬ちゃん…光くんも」
「私たちも今買い物から帰ってきたの…入って」




紬ちゃんは慌てているようだった。
彼女によって開けられた部屋に入ると、戸川くんと想くんは向き合って立ち尽くしていた。

「…戸川くん」

戸川くんは、泣いていた。
子どもが泣きじゃくるように、肩を上げて泣いていた。



"なにがあったの"

想くんに尋ねても、私の目を真っ直ぐ見つめるだけ。
悲しい瞳の色だった。


「凑斗…っ、待って凑斗…!」


戸川くんは耐えきれないといった表情を浮かべ、
部屋を出て行ってしまった。
ごめん、と言い残し紬ちゃんもその背中を追っていった。



部屋に残された私と想くんと光くん。
なんとも言えない空気感が、どんよりと流れている。

その沈黙を打ち破ったのは光くんだった。


「…佐倉くんは…っ姉ちゃんたちをどうしたいの、」
「どうって…」
「姉ちゃん、佐倉くんと会ってからなんかおかしい」
「……」
「Aさんだって…嫌でしょ、佐倉くんと姉ちゃんがふたりでいるの」
「嫌じゃない、全然嫌じゃない」
「…俺は嫌。正直、邪魔しないで欲しいって、そう思ってる」


光くんの目が怖かった。
全てを読み取られそうな、吸い込まれそうな瞳。

まるで悪者でも見るようなその視線が、想くんに向けられた。

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設定タグ:silent , 目黒蓮 , SnowMan   
作品ジャンル:恋愛
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雨宮みさと(プロフ) - めっちゃ大好きです。楽しみに待ってます (2022年11月2日 18時) (レス) @page41 id: d8108038f9 (このIDを非表示/違反報告)
みーやん(プロフ) - 最高です。キュンキュンしてます。想くんと別れるのーって言う展開に追いつかないけど、別れて欲しくないって思うほどですが。もう、続きが気になって仕方ないです (2022年10月30日 11時) (レス) id: 6a7c2c00d5 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - めちゃくちゃ胸が痛い‪( ;ᯅ; )‬毎回感情移入してしまううううう (2022年10月30日 7時) (レス) @page41 id: b34c7041d1 (このIDを非表示/違反報告)
AkaNe(プロフ) - 毎話毎話素敵なお話で作者様の言葉選びが本当にすきです!!ゆっくりでいいので更新楽しみに待っています!!♡ (2022年10月29日 11時) (レス) @page34 id: 5323627667 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 感情移入してしまうくらいステキなお話です…‼︎ただ一つ気になったのは青葉じゃなくて青羽かと思います(><)これから作者様のスピードで無理なさらず更新楽しみにしています♡ (2022年10月20日 0時) (レス) id: e356a3c07b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こむぎ | 作成日時:2022年10月8日 18時

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