. ページ18
Your side
しばらくするとテーブルの上に卵雑炊が置かれた。
ありがとう、と伝えると
いつもの笑顔で返してくれる想くん。
" それ、食べながらでいいんだけど "
｢うん｣
" ちょっとAちゃんに相談したいことがある "
ドキリと胸が音をたてたのが分かった。
" さっき、青羽に会ったんだ。Aちゃんのこと駅で待ってたとき "
｢うん｣
" そのとき、青羽が落としたんだ "
テーブルの上に置かれたのは、片方のイヤホンだった。
" 返しそびれちゃって "
｢…うん｣
" Aちゃんが会って欲しくないって言うなら、俺は会わない "
｢……｣
" これも、Aちゃんが青羽に返して欲しい "
私を気遣う、想くんなりの優しさだった。
" これは、想くんが紬ちゃんに返してあげて "
" いいの？ "
" きっと紬ちゃん、想くんのこと心配してる "
" …分かった "
優しくて物分りが良い女の子でいないと、
想くんが離れていってしまう気がした。
彼だって今きっと、苦しいんだ。
耳が聞こえない彼の本当の苦しさなんて、
私には微塵も分かりっこない。
少しでも私が歩み寄っていかなきゃいけないんだ。
" 服、それ新しいワンピース？ "
" 気づいた？ "
" うん、かわいい "
これからも先もずっと、
想くんの隣で笑ったり泣いたりして過ごしたい。
それだけだった。
卵雑炊を口に運びながら、密かに願った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2824人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨宮みさと(プロフ) - めっちゃ大好きです。楽しみに待ってます (2022年11月2日 18時) (
レス) @page41 id: d8108038f9 (このIDを非表示/違反報告)
みーやん(プロフ) - 最高です。キュンキュンしてます。想くんと別れるのーって言う展開に追いつかないけど、別れて欲しくないって思うほどですが｡もう、続きが気になって仕方ないです (2022年10月30日 11時) (レス) id: 6a7c2c00d5 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - めちゃくちゃ胸が痛い( ;ᯅ; )毎回感情移入してしまううううう (2022年10月30日 7時) (レス) @page41 id: b34c7041d1 (このIDを非表示/違反報告)
AkaNe(プロフ) - 毎話毎話素敵なお話で作者様の言葉選びが本当にすきです！！ゆっくりでいいので更新楽しみに待っています！！♡ (2022年10月29日 11時) (レス) @page34 id: 5323627667 (このIDを非表示/違反報告)
ま(プロフ) - 感情移入してしまうくらいステキなお話です…‼︎ただ一つ気になったのは青葉じゃなくて青羽かと思います(＞＜)これから作者様のスピードで無理なさらず更新楽しみにしています♡ (2022年10月20日 0時) (レス) id: e356a3c07b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こむぎ
| 作成日時：2022年10月8日 18時
