Episode28[貴方side] ページ33
オ「よしっ！じゃあ、ご飯にしようか。」
そう言ってオビ様は立ち上がって、ドアを開けたまま外へ出ていく。
ご飯、か。
ここのご飯はどんなのだろう。
オビ様が料理を載せたお盆を2つ持って入ってきた。
オ「夜ご飯だよ。一緒に食おう！」
机に置かれたのは、ピカピカの食器に盛り付けられた綺麗で色とりどりな料理。
初めて嗅ぐいい匂い。
お皿はひとつではなく、2個も3個もある。
一目で位の高い人の食事なんだとわかる、見たことも無い豪華な料理。
2つのうち一方は大盛りだったけど、もう一方は少なめだった。
オ「少ない方がA嬢ね。」
貴「....これも私のものなのですか？」
オ「そうだよ。」
....私が食べるんだ。
一体どんな味がするんだろう。
食べてもお腹が痛くならないだろうか。
毒は入っていないだろうか。
オ「じゃ、いただきます！」
貴「....いただきます。」
まずは大きめのお皿の、黄色い山のようなもの食べてみよう。
いつも通り手で掴んで食べるのはためらわれて、オビ様をそっとうかがう。
オビ様は、銀色の先端が平たい棒のようなものを使ってそれを食べていた。
見ると、私のお盆にも同じものが置いてある。
手でつまんでみるけど、使い方がわからない。
オ「...A嬢、それはスプーンっていうんだ。」
貴「....スプーン...」
オ「そう。ご飯やスープとかはこれで食べるんだよ。」
見ててごらん、と言ってオビ様がスプーンを使う。
三本の指で挟むように持ち、先端の平たいくぼみでご飯をすくって食べているようだ。
見よう見まねでやってみる。三本の指では力加減がわからなくて、くぼみも思うように上を向かない。力を入れてなんとか安定させる。
黄色い山をつついてみると、すっとくぼみの先が入って、お皿の底にカチンと当たった。慎重に上を向けてすくってみると、黄色いのは表面だけで、中にはオレンジ色のご飯が詰まっていた。
ゆっくり、口に運ぶ。
ぱくりとくわえると、それはあったかかった。ちょっと酸味のあるご飯と、とろとろして甘いものが混ざりあって、すごく、すごくおいしい。
オ「...オムライス...おいしいかい？」
オビ様は私を見てにこにこと笑っている。
貴「...はい、おいしいです。」
.....オムライス。
本当に、こんなにおいしいものは初めて食べた。
いい匂いで、あったかくて、食べたこともない味がして。
その後、私はスプーンに苦戦しつつご飯を食べ終えた。
オビ様が部屋を出て、初めて、毒の味なんかしなかったと思い出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
璃紗輝(プロフ) - ちぎょさん» ありがとうございます！優しいオビが大好きなので、意識して書きました(*´-`*)気に入っていただけたら嬉しいです！ (2019年2月10日 23時) (
レス) id: 9834fc0e34 (このIDを非表示/違反報告)
ちぎょ(プロフ) - こんばんは。オビの優しさが沁みる、とっても素敵なお話ですね…続きを楽しみにしております* (2019年2月10日 21時) (レス) id: 2a62607b53 (このIDを非表示/違反報告)
璃紗輝(プロフ) - さくらさん» 暖かいコメントありがとうございます！すごく嬉しいです...！楽しんでいただけるように更新も頑張りますね！ (2019年2月4日 11時) (レス) id: 9834fc0e34 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 始めまして、璃紗輝さん｡とても面白くて、続きの気になる作品です！ゆっくりでいいので続きをお願いします( . .)" (2019年2月4日 2時) (レス) id: 384fce79c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：璃紗輝 | 作成日時：2019年1月20日 12時
