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"どこおる？"
"話す約束やったやん"
"なんかあった？"
"どうしても紫耀と話したくないんやったら話さんでええから。やから帰って来て。"
何度送っても既読にならないメッセージに、何回かけても繋がらない電話。
「アカンわ。ラインも電話も応答なし。」
「ここに2人いても仕方ないし、俺とりあえず家戻ってみるわ。もしかしたらいるかもしんないし。」
ソファで項垂れる俺に紫耀がそう言ってリビングを出ようとした時、携帯が震え始め、表示されたAという名前に俺は思わず立ち上がる。
「もしもしAっ？！今どこにおるん？！」
気持ちばかりが先に出て早口になってまう俺と、踵を返して俺の耳元に慌てて駆け寄ってくる紫耀。
そんな俺らとは対照的に、Aは落ち着いた様子でこう答えた。
「廉君…ごめんね…」
あーあ…
ほら、またこの感じ…
繋がってるのに、
すぐ耳元で君の声が響いてるのに、
やのに届かへん。
「謝らんでええから、今どこおるか教えて？」
届きそうで届かへんくて、
見えそうで見えへんくて、
掴めそうで掴めへん。
「…」
追いかけてるんか待たされてるんかもわからへん。
どこや？
いつまでたってもわからへん。
一体どこなんや？
君の想いの真ん中は。
「A…？」
「…」
電話の向こうから聞こえてくる騒がしい音。
大通りでも歩いてる？
いや、踏切？
違う。
この音って…もしかしてっ…！！
「駅？！どっかの駅やろっ？！どこ？迎えに行くから！」
「…廉君…私……会いに行く。決めたの。」
「え…？会いに行くって……？」
「紫耀の…ママに。」
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作者名：P | 作成日時：2019年10月8日 22時
