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「あれ…どうしたん?Aもトイレ?」
トイレから出るとすぐに目に入ったのは、ポツンと壁にもたれているAの姿。
「あ、うん。
でもその前に廉君に言いたいことがあって…」
「うん?」
「あの……色々…本当に色々ごめんね…
たくさん迷惑かけてごめんね…」
最後はギュッと目を瞑って申し訳なさそうに話すA。
俺はサッと周りを見て誰もいないのを確認すると、Aの頭に軽く手を置いて顔を覗き込む。
「だーから迷惑とか思わんって。」
「でも…」
「ちょっとの間やけどAと暮らせてメッチャ幸せやったもん、俺。」
「…」
「まぁ紫耀と喧嘩中じゃなかったら?なお良かったんやけど。」
「はい…ごめんなさい…」
「うそうそ。紫耀と喧嘩せな泊まりなんか到底無理やったわけやし、終わり良ければ全て良しってことで!」
そう言って頭に乗せた手をそのままポンポンと動かすと、Aは恥ずかしそうに頷く。
あー…髪の毛触りたい。
フニフニのほっぺも触りたい。
抱きしめたい。
キスしたい。
むくむくと湧き上がってくるそんな欲望に蓋をしようと、視線を目の前の壁へと移す。
そこにはスタッフの手作りと思われるアドベントカレンダーが飾ってあって、もう明日がクリスマスイブだということを知る。
「なぁA。明日、出かけへん?」
「え?」
「ほら明日イブやし、イルミネーションでも見に行かへん?」
「でも…廉君…大丈夫なの?」
「うん。さすがに人混みん中はまずいから、車ん中から見る感じになってまうけど…」
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作者名:P | 作成日時:2019年10月8日 22時