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帰り道、腹が減ったという紫耀に連れられて、俺たちは紫耀の実家から程近いファミレスに入った。
ごく普通のチェーン店やけど、紫耀が子供の頃は外食と言えばもっぱらこの店やったらしく、紫耀にとっては思い出深い店らしい。
「うーわ、懐かしー!あ、ドリンクバーの位置変わってる!」
店員さんが席まで案内してくれている後ろで、紫耀はキョロキョロ店内を見回し、やたらとテンション高く独り言を呟いてた。
はずやのに、気づいたらAを奥のソファー席に座らせ、俺を差し置いてちゃっかりその隣を陣取ってる。
ホンマに隙の無い奴。
「待って?なんか席順おかしない?」
「なんだよ、そんなに俺の隣がいいの?」
「違うわ、お前やない。わかるやろ。」
「わかりません!はい、早く頼もう!腹減った!」
「俺そんな腹減ってないんですけどー…」
「あ、じゃあ付き合ってもらうのも申し訳ないので、廉君はお車でお待ち下さい。
俺はAと2人でゆーっくり食べますので。」
「は?!誰も食べへんとは言ってへんやろ!」
目の前でくだらない攻防を繰り広げる俺たちを、君が目を細めて見てるのに気づいて、急にくすぐったい気持ちになる。
紫耀は横目でチラッとAの表情を確認すると、Aよりもっと目を細めてメニュー表を手に取った。
俺ももう1冊のそれに手を伸ばしたけど、正面におる2人が揃ってメニュー表を覗き込む姿に、思わずその手を止めて見入ってしまう。
やっぱり似てるなぁ。
俯いてるとこも考えてる時の表情もそっくりや。
まぁ…兄妹やもんな…
兄妹…
兄妹か……
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作者名:P | 作成日時:2019年10月8日 22時