episode6 ページ7
｢……なにしてるの、キリト｣
セルカが呆れ返った目でキリトを見下ろす。冷や汗をぶわっとかくキリトの瞳に映ったのは。
｢まったく、ほんとに探究心旺盛ね｣
純白の騎士服のトップスに、空色のロングスカート。既視感のある、これは、とキリトが固まる。
｢あ、気付いた？ さっきファナティオ姉様にお呼ばれした時に頂いたの、アリス姉様のお下がりなんだ。あとね、これも貰ったのよ｣
そう言ってポケットから取り出したのは、鈍色に輝く懐中時計だった。
｢それは？｣
キリトが見覚えがない、というように首を傾げるとセルカはくすくす笑った。
｢姉様が央都に連行された時に所持していたんですって。健気に刻を刻み続けているのよ、なんてファナティオ姉様が言うものだから、せっかくだし貰ってきちゃった｣
｢……ああ、そういえばベルクーリ元騎士長が整合騎士の所持品を納めた部屋を見つけたとかいう話だったか…………なるほどなあ。よかったな、セルカ｣
キリトがセルカに微笑むと、彼女は｢うんっ｣と年相応の笑みを見せた。
｢さて、ではセルカ。暁星の望楼まで一緒に行こうぜ｣
｢暁星の望楼って、キリトがよく入り浸ってるっていうあの？｣
｢入り浸ってるは余計だアホ。……うん、まあ間違っちゃいないけど。そうそこ。｣
｢じゃあ、私は厨房に寄ってから行くね｣
｢……？｣
今度はセルカが首を傾げると、キリトがいつものようにニヤリと笑う。
｢決まってるだろ。セルカの歓迎パーティーやるんだよ、なあロニエ、ティーゼ！｣
｢ええ、もちろん！｣
｢セルカさん、よろしくねーっ！｣
幼竜を片腕に、フレニーカをもう片腕にしっかり捕まえたふたりがセルカの後ろからにゅっと現れた。
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作者名：孝音 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月21日 17時
