episode4 ページ5
｢ロニエ、今何階？｣
｢ちゃんと数えてなさいよ、27階｣
｢あと10階かあ、長いなあ……｣
ロニエの相棒であるティーゼがうへえ、と面倒くさげに息を吐き出しながら階段を二段飛ばしに駆け下りる。ロニエはその後ろを追随し、あっという間に17階に到達。
少し広い空間と、多数の部屋。
ロニエたちの使用している部屋よりは、カセドラルの中でも低い階に位置する場所。
｢整合騎士見習い、ロニエ・アラベル。入室致します｣
｢同じくティーゼ・シュトリーネン。入室致します｣
2人は扉の前でそう宣言すると、音を立てないように扉を開けた。
｢……！｣
中に入ると、身体をこわばらせた新術者たちが更に身体を固めた。
整合騎士見習いとはいえ、彼らにとってはいちおう天の上の存在であるゆえ、仕方がない。
｢ごめんなさい、ここにフレニーカ・シェスキはいるかしら？｣
｢は……はい、あちらに｣
少し男にしては細めの体格の子が、窓の方を差した。
フレニーカは何を思っているのか、窓の外を見つめたまま微動だにしない。
｢フレニーカーーー！！！！！｣
しかしそんな様子をものともせず突撃していくティーゼ。ロニエが心の中で讃辞を贈る。
｢ふぇぁっ……あっ、ティーゼ！！……様｣
｢えっ｣
ティーゼが足を踏ん張ってそこで踏みとどまる。きょとんとした顔のティーゼを横に押しやったロニエは、フレニーカの顔をのぞき込む。
｢真面目なのは変わらないね、フレニーカ。でもさ、友達に向かってそれは傷つくなあ〜｣
茶化すようにロニエが笑い、ティーゼが｢様とかつけんのむずがゆい……やめてぇ……｣と体をさする。
｢……そう、だね。へへ、なんかふたりとも遠く見えちゃってなあ……｣
｢｢自分でも未だに整合騎士見習いとか信じられないからね｣｣
ロニエとティーゼの声が綺麗に被り、3人はあははとおかしそうに笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：孝音 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月21日 17時
