【ワケあり生徒会！】香山コンシェルジュ娘の日記 (ページ15)

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15話ページ15

マスターside

俺ははじめてあいつに会った時、随分と大人びたやつだな、と思った。

見ている内にその第一印象は別に間違っていた訳では無いけど、大人びているだけでやっぱり根は子供なんだと思うようになった。

俺は、そんな"大人びていた"年下のあいつに、"大人ぶって"説教じみた言葉を投げたことがある。

言い終わってあいつの顔を見たら、大人びた顔をして静かに泣いていた。

美しいと思った。

そして好きだ、とも思った。

でも同時に、純粋な涙を見せるあいつは、子供だと思った。

持ってはいけない感情を持て余した俺は、最後にあいつに声をかけることもせずにあいつの前から姿を消した。

それからずっと会っていなくて、俺がバーで経営をし始めた時に来たあいつは、子供でも大人でもなく、1人の女になっていた。

お前をそんな風にしたのは誰だとか、

結婚はしてるのか、とか

付き合ってるやつは、とか、

ドロドロした醜い感情を持て余した俺は、長年嘘をつき続けた代償か、笑顔で

「いらっしゃ～い、初のご来店ですね？」

と、なんでもない他人と同等のセリフをはいた。

あいつの驚く顔に胸が張り裂けそうになりながら、何度も何度も足蹴なく通うあいつにずっと覚えてないような演技をして、そして、

何もなくなった。

とうとうあいつは店に来ることもなく、俺がずっと前にあいつにしたのと同じようになんの痕跡も残さず姿を消した。