13話 ページ13
私が今はQuuZのマスターをしている彼に会ったのは、綺麗な小説の出だしのように、そんな甘いものではなかったけれど、私の中で今も、キラキラと輝いている。
私は同学年の子達より大人びた性格をしていました。
周りの子は特に何も思っていなかったようでしたけど、私がどこか一歩引いて接していた節があり、自然と一人になっていきました。
それを楽だと感じていた私はきっと、1番子供だったんだと今では思います。
そんな甘ったれた子供時代を過ごしていた私はある日、彼がリーダーをしていたやんちゃな集団に攫われました。
リーダーは、今はマスターをしている彼は、私に何をする訳でもなく、独り言のように、淡々と喋っていました。
彼自身に言い聞かせているように聞こえるそれに、それでも私は渇ききった砂漠が水を求めるように、その言葉を必死に拾っていました。
「それは、一人だから楽なんだろう。本当に"独り"であることを知らないから、楽でいられんだ。」
「誰かに深入りしない人生は確かに楽だ。だけど、誰かに深入りしない人生は誰の中にも自分が存在してないみたいで、怖くならないか?」
「楽なのは、周りと接触しない事じゃなくて、自分を殺しちまってるからなんじゃねぇのか。」
彼の言葉に、
視線に
雰囲気に
全てに囚われた。
私は、私を攫った彼に、いまある私を変えてもらったんです。
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作者名:藍くん | 作成日時:2017年9月24日 19時