第十七話 一人きりだったから ページ22
「ほら、それじゃあ帰ろう」
春風さんに手を差し出す。
でも、春風さんはびっくりしたのか、全く動かない。
何か変なことをしてしまっただろうか。
「…嫌、だったかな…？ごめんね」
そう言って、手を戻そうとした時。
「待っ、て…！嫌じゃ…ないよ」
手を掴まれた。特に、痛くもなかった。
ずっと、この子は一人だったんだろう。
私以上に。
お互い、一人だったんだ。きっと。
私は春風さんの手をしっかりと握って、歩き出す。
「…そうだ！ねえ、春風さん。私に、あなたの【個性】のこと、教えてくれないかな？
春風さんのこと、もっと知りたいの。」
私がそう言うと、春風さんは困ったように言った。
「え、っとね…私も、よく分かんないんだ…分かることは、教えるね。
調辺さんのことも教えて！」
春風さんは、笑ってくれた。
私は、この子の何になればいいだろうか。
姉のように、優しく関わればいいか。
友達になって、いつでも春風さんを支えられる人になればいいか。
かけがえのない存在に、なれたらいいか。
まだ、出会って２日なのに。
私はこの子に救われる予感がしている。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「まず、私の【個性】は【辞書】。だからこうやって、ポケットに辞書が常に入っているの。何かあったときのためにね。」
そういって、ポケットから辞書をとりだしてみせる。
「え、それ…どうなってるの…？」
春風さんは、この小さなポケットから、大きな辞書が何冊も出てくるのが不思議でならないみたい。
「ああ、これね？これは【個性】で作ったの。
確か、中に入れた物体を異次元に保管し、取りだしも可能にしているというなんともSFなものだった気がするわ…」
「…ドラ○もん…？」
春風さんが何か言った気がするけど、よく分からなかった。
「とにかく、辞書に書いていることを読み上げれば、それが叶うの。
奇跡だって、ね？」
私はにっこりと笑って言ってみせる。
「奇跡、も…？」
「そうよ。それは、確かに非日常で、条理に反しているけれど。いつかそのツケが回ってくるだけ」
そう、それで私は…
奇跡を願ったから、一人になったんだ。
続く
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美姫(プロフ) - アリカさん» ごめんなさい！考えてたら遅くなりました！ (2019年8月3日 19時) (
レス) id: 269a556085 (このIDを非表示/違反報告)
アリカ - 美姫さん» まだでしょうか？ (2019年8月3日 19時) (レス) id: f895811442 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - アリカさん» はい！わかりました (2019年8月3日 18時) (レス) id: 269a556085 (このIDを非表示/違反報告)
アリカ - 美姫さん» 更新をお願い致します。調辺さんサイドが書きやすいのはわかるのですが、春風さんサイドでお願いいたします。 (2019年8月3日 18時) (レス) id: f895811442 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - アリカさん» 書き直す前の話を、春風さんサイドにリメイクしました！誤字脱字とかあったら教えてください。 (2019年8月2日 9時) (レス) id: 269a556085 (このIDを非表示/違反報告)
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