H #16 Higashihama 「夏の氷と君の影」 ページ36
"そーいえばさ巨、転校するらしいよ。"
チリンチリン、
と風鈴の鳴る部屋の中で私は1人
この言葉を何回も繰り返していた。
突然、さっき、友達にさらっと言われた。
なのに、こんなにも頭から離れないなんて
_________巨とは、幼馴染だった。
けど、いつの日か好きになっていた。
大好きになっていた。
けど、私はこのままの関係を壊すのが嫌で…
言えなかった。
そんなとき、巨から電話が。
「…もしもし？」
『あっー俺、』
「…うん」
『あのさ、俺福岡行くんだ。明日』
「…そっか」
うん、
とか、
そっか、としか言えなかった。
『福岡で野球やる。プロ野球選手になる』
「そっか…」
福岡で。野球。
プロ野球選手、それは彼の昔からの夢。
夢叶えようとしてるんだね。
『A…なんも言ってくれないの？』
そりゃ、止めたいけどさ。
私に止める権利なんて無いよ。
応援しなきゃ…
「えーと…頑張れ。」
精一杯言葉にした。
涙を堪えて。
『おう…頑張るわ』
少しだけ彼の電話越しの声が悲しげに聞こえたのは、
ただの勝手な思い込みだろうか。
チリンチリン、チリンチリン、と
風鈴の鳴る回数が少し増えた気がした。
＊
翌日、
私はベランダで腰掛けながらかき氷を
食べていた。
残念ながら何も味は感じないんだけどね。
ただただ、冷たさだけがわかった。
母「巨君、福岡行くんだってね。
…見送り行ったら？」
「…別に、いいや」
母「本当にいいの？次巨君と会えるの
いつになるか、わからないよ？」
「…昨日電話で話したし。」
嘘だ、本当は泣くのが怖いだけだ。
思いを伝えられない自分に腹が立ってるだけ
でも。
でも…本当にこのままでいいの？
このままだと、一生変わらない気がした。
これが、最後の告白のチャンスなんだって
私は手に持ってるかき氷を見つめた。
こう考えてる間にも
無情にかき氷は溶けて行く。
まだ、間に合うのかな？
このかき氷が溶ける前に…_________
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さや - まゆこさん» 気長に待ちます！ (2018年8月11日 16時) (
レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
まゆこ(プロフ) - さやさん» ほんまですか！そう言ってもらえるとほんまに嬉しいです！了解しました！…でも少し遅くなります！すみません！ (2018年8月10日 22時) (レス) id: 2288335655 (このIDを非表示/違反報告)
さや - まゆこさん» ｻﾌﾞﾀｲﾄﾙが欅坂46の曲で､それに引かれて読んで見たら､曲の歌詞と合っていたので､ﾋﾟﾝと来ました｡ついでにｶｰﾌﾟの安部友裕選手の話をﾘｸｴｽﾄします｡ (2018年8月9日 17時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
まゆこ(プロフ) - さやさん» 読んで下さってありがとうございます！はい大好きです！！！ (2018年7月31日 22時) (レス) id: e5463b5bae (このIDを非表示/違反報告)
さや - 少しだけ読みました｡欅坂46､好きなんですか？ (2018年7月31日 5時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mayu | 作成日時：2017年5月4日 16時
