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「 これ、お願いします 」
あっという間に山盛りになったカゴを会計に差し出す。
や、なんか申し訳ないなこれ、こんな夜中にごめんなさいって心の中で謝りつつ財布を取り出そうとして、ふと右手の温もりが離れた。
「 あ、」
それと同時に右から漏れる声。
「 忘れてた、取ってくるね 」
こんな買ってんのに何をよ?なんて問いかける隙もなく、足早に陳列棚に戻る背中。
え、そっちなの?ねえ、そっちなんかあったっけ?
『 これ、あっためます?』
「 、、あ、大丈夫です 」
コト、
0.02mm、この文字がやけに目に飛び込んできた
「 すみません、これもお願いします 」
やっと隣に戻ってきた伊野尾ちゃんはその文字が刻まれたハコを2つも持ってきて、涼しい顔で財布を取りだした。
「 は、え、、あん、、、っば、、は?、」
あっという間に真っ白になって使い物にならなくなってく頭と、迫り上がってくる熱に顔が焼けるように暑くなった。
ふと、微かに笑い声が聞こえて、
『 にーさんら、仲良いんすね。』
なんて含みを持った店員さんの言葉に更に体感温度が上がる。
いつの間にか終わっていた会計。
『 あーっした!お幸せに 』
なんて声に送り出されて、
「 ありがとうございます〜 」
浮かれた調子で返事をする伊野尾ちゃんも大概だ。
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相変わらず真っ暗な夜道を2人並んで歩く。
「 いっぱい時間あるね? 」
先程のハコが入ったビニール袋を態と掲げて見せ、ニタニタしながらからかうように問いかけてくる。
やっぱりいつも上手の伊野尾ちゃんに、またいつの間にか繋がれていた右の手を、仕返しとばかりに振り払ってやった。
「 ばか、きらい 」
「 っふ、ごめんって、俺は好きだよ。」
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作者名:ほたて | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/hotate__u
作成日時:2019年12月5日 16時