制汗剤 arin ページ15
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学パロ(男子校)
in side
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「 いのちゃんいるー?」
休み時間、束の間の息抜きに級友とのじゃれ合いや談笑で各々が騒がしい教室の中、やけに通るその声が俺の鼓膜を震わせた。
「 あ、有岡くん。どうしたのこんなとこまで 」
変にたじたじに吃ってしまう自分の口が恨めしい。
有岡くんみたいな人が俺に話しかけている状況に未だに慣れなくて、目のやり場にも困ってしまう。
「 お願い!体育着貸してくんない?」
パンって目の前で手を合わせた音にびっくりしてたら、唐突にそんなことを言われた。
肘まで捲ったシャツから覗く腕の筋肉がかっこいいなぁ、なんて
『 おい大ちゃん、伊野尾が困ってるよ 』
『 そうだぞー!伊野尾くんにめーわくかけんな!』
変なことを考えていたせいで周りからはやしたてられてりして。
「 なんだよ!俺といのちゃんは親友だもんな? 」
有岡くんが親友なんて言ってくれるのが嬉しくて、緩みそうになる口を隠すように少し俯く。
ジリリ、とちょっとだけ傷んだ胸には気付かなかった。
「 あ、えと、体育着だよね?ちょっとまってて 」
本題を思い出して、焦って自席に取りに戻る。
良かったぁ、昨日洗濯してて。え、臭かったりしないよね??ちゃんと畳んだっけ、なんて心配になったりして。
『 はは、大ちゃんスルーされてやんの 』
「 なんだと?!いのちゃん優しいから急いでくれてんだろ!」
『 優しさに漬け込みすぎなんじゃねー? 』
背中ではお決まりの大ちゃんいじりが始まった。
良いなあ、皆仲良しで。
俺もあの中で大ちゃんなんて呼んで、馬鹿やりたいな、なんて思うのは何回目だろう。
いつも色んな人に囲まれて中心で笑う有岡くんはとてもキラキラで眩しくて、未だに交友関係を持てているのが不思議なくらいだ。
「 有岡くん、これ。」
「 お、ありがとな。5限目体育だよね?それまでに返す!」
じゃーな、なんて走ってく後ろ姿をただただぼーっと見つめていた。
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作者名:ほたて | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/hotate__u
作成日時:2019年12月5日 16時