【wrwrd!】シェリアク【em】 (ページ2)

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【 2 】白い喪服ページ2

【 2 】
　
　
　「あっ、お葬式どうだった？土砂降りで大変だっただろ。」
　「おー、Aさん。いやね、富山に着く頃には晴れとったよ。」
　「そうなんだ。良かったじゃん。」
　「そうやね。過ごしやすい天気やった。」
　
　
　連休中に伯父さんのお葬式で、富山まで旅に出ていたエミさん。
　和歌山から富山まではどのくらい時間が掛かるんだろう？
　向こうの天気しか調べなかったから、知識不足だった。
　
　
　「それで、不思議な光景と出逢ったんよ。」
　「どんな光景？」
　「伯母さんがねー、［白い喪服］を着てたんや。それで驚いた。どうして白いんだろうって思って。」
　
　
　ボクは「そっかあ」と呟いた。
　
　
　「［もう誰の妻にもなりません］って意味なんだ、白い喪服は。」
　
　
　エミさんがハッとした様に目を見開く。
　ボクもしんみりして切ない胸の内を開きながら、その言葉達を噛み砕いた。
　
　
　「元々、喪服は白だったり、黒だったり何度か色の変化が起きてるんだ。そして最近になり海外では黒い喪服が主流だから、喪服は黒ということで定着してきた訳。だから、昔は結婚式の白無垢を家で保管して、旦那さんの葬儀になったら未亡人となった奥さんは喪服として使っていたなんて話もあるみたいだよ。」
　
　
　黙って聞いていたエミさんは少し満更でもなさそうだった。
　
　
　「ふたり、おしどり夫婦やったから。そっかあ。もう結婚しない事の意義を、あの時唱えてたんやね。……へえ。」
　
　
　そのうっとりとした表情を見詰めながら、ぼんやりと考える。
　ボクが死んだ時の葬式には、そんなロマンチックな出来事は起きてくれるかな。
　
　
　「白だから［もうあの人以外の人には染まらない］と言う心象を表したモノ。ボクもそんな人と出逢いたい。この人しか要らない、って思える様な。」
　「白って何にでも染められるのに、［染まらない］事を言い切ったんや。なんかそれって白だから出来る事やな。つまり、白である事に意味があるんやと思う。またおもろい事知れたわ、有難う。」
　
　
　そう微笑んだエミさんに、ボクもまた微笑み返す。
　
　
　「それに、Aさんにはそう言う素敵な人、現れると思うで。心配しなくても。」
　
　
　またエミさんは優しく笑った。
　だけどボクはそんな言葉が欲しかった訳じゃないから、少しだけ拗ねた。