おくさんの杞憂1 ページ24
＿＿＿＿＿＿＿
『ん……』
ぱち、と目を開ける。ダルい体を起こすと頬を伝う涙。
ふと窓を見ればカーテンの隙間の窓から自分の顔が見えるが、酷い顔をしていた。
『…すごく、悲しい……？』
頬から目の下にかけて指でなぞれば、確かに濡れていた。
『……誰の記憶かしら』
そうポツリと言うと、枕元の時計に目をやる。カチカチと規則的な音は真っ暗な月明かりだけの室内にやけに響いた。
『まだ3時なのね』
最近、この能力のせいか、自分のものではない記憶が夢となって出てくることがある。…まぁ、至極曖昧なもので、起きれば忘れてしまうのだが。
ﾄﾞﾌｨ｢ん゛………ふっ……う゛…｣
ぼうっとしていると横で寝ていたドフラミンゴが唸った。
ﾄﾞﾌｨ｢は……あ゛……やめろ……来るな…っ｣
唸り声は次第に大きくなり、脂汗が額に滲む。
『……』
Aは寝返りをうつドフラミンゴの大きな手を握る。
『大丈夫、大丈夫……』
両手で握り、手のひらの甲を撫でた。
するとドフラミンゴの眉間のシワが薄くなり、目元も柔らかく呼吸もすうすうと深くなった。
『ふふ……』
傍若無人、冷淡無情と言われる彼も一人の人間であることをAは知っている。その子供のような一面愛おしさが溢れた。Aはドフラミンゴの額、瞼、鼻、頬にキスを落とす。
『……愛してるわ』
＿＿＿＿＿＿
ｻﾞｻﾞ……
船の上特徴的な波の音で目を覚ます。
ﾄﾞﾌｨ｢…｣
目の前には天使と疑う程美しいAの寝顔が。
ドフラミンゴは僅かに肩を上下させ眠るAの姿に安堵するとサングラスを付ける。
そういえば今日はやけに寝つきが良かったな……と思うと、ドフラミンゴはAと手を繋いでいた事に気がついた。
ﾄﾞﾌｨ｢フッフッフ……なるほどなァ｣
ドフラミンゴはすよすよと眠るAの首にキスを落とす。そしてベッドから降りようとしてその時、くっ、と手首が引っ張られる。
『ん……おはよう、ドフィ。』
ﾄﾞﾌｨ｢……随分と寝坊助だな｣
『寝坊助は貴方よ……』
Aは目を擦りながら肩からずり落ちたネグリジェをたくしあげる。ドフラミンゴはまずAの手に黒手袋を付けた。
ﾄﾞﾌｨ｢……4日だ。｣
『え？』
ﾄﾞﾌｨ｢あれから4日。お前は目を覚まさなかった。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 460人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茶灯まって(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» ありがと嫁子ちゃーん!!!ちまちま更新です……相談！是非！どぞ!!!イラストは描けたら楽しい😎😎😎 (2021年10月12日 23時) (
レス) id: 14d735e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - まっちん落ち着いたら是非！！無理しないでね☺️更新楽しみにしてるよん (2021年10月12日 20時) (レス) id: a99a4d7f0e (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - まっちん時間あるときイラストの相談させてー！！！私も練習して描けるようになりたい！！！ (2021年10月12日 20時) (レス) @page31 id: a99a4d7f0e (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - またきゅんしたら騒ぎにくるからね(^q^)w (2021年9月20日 1時) (レス) id: ed06bfeab3 (このIDを非表示/違反報告)
茶灯まって(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» ｳﾌﾌﾌﾌ…ぶち上げてますぅ…嫁子ちゃんのラブレt(((コメントしかと受け取ったぜい……( -`ω-)✧ (2021年9月19日 23時) (レス) id: 14d735e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茶灯まつ | 作成日時：2021年9月3日 23時
