エースという男10 ページ29
＿＿＿＿＿
『……ごめん。エース』
Aはそれから黙ったまま何も言わなくなったエースに謝る。エースは励ましてくれたのに、それを無下にした。
その思いは返って心を落ち着かせた。
そして、更に、更に心の闇を覗かせる。
常に感じていた罪悪感。それは日々大きく膨らみ続け、ナルの死、という針がパンっと破裂させたのだ。
『……時々、自分でも何が何だか分からなくなる。』
『たくさんの人を不幸にして、泣かせて。』
『おれは、生きてちゃいけねぇ人間なんじゃないかってよ。』
『誰にも、生きることを望まれてない気がしてならないんだ。』
Aは涙声になりながら膝に顔を埋める。
ｴｰｽ｢…！｣
『……おれは生まれてきても良かったのかな』
ｴｰｽ｢っ｣
『……なんてな』
『はー……何言ってんだろうな、おれ。エース相手によ……』
涙目を隠すようにAは自分の頭をガシガシと掻きむしる。
『……死んだ奴は戻らねぇ。……それはわかってるんだ。』
すくっと立ち、エースに背中で語る。
どうやら、ナルの棺桶のある甲板の中央へ向かうつもりらしい。
パシッ
『ん』
進もうとしたが、手首を捕まれ後ろによたつく。
『どした』
ｴｰｽ｢……生まれてよかったのかなんて、俺にもわからねぇ｣
『……まだその話。いいって……気ぃ使わなくても』
ｴｰｽ｢違う。……俺が言いたいだけだ。言わせてくれ｣
ｴｰｽ｢……生まれてきた意味なんて、わかんねぇけど…たぶん、そーいうのは｣
ｴｰｽ｢生きてみりゃ、わかる。｣
『……へぇ』
ｴｰｽ｢と、思う……｣
恥ずかしげにエースは後付けする。
Aはエースの言葉に目を見開き、まぶたを震わす。
『よく、そんな事が言えたな。…エースの癖に。』
おれのなかに、ストンと落ちたよ。とAは言う。
ｴｰｽ｢……言えるさ、だって俺とお前は……｣
ﾏﾙｺ｢A、エース！……来れるか｣
『！……あぁ！』
するりとエースの手からAの手は抜ける。
＿＿＿｢だって俺とお前は｣
＿＿＿＿＿｢｢よく似てるから｣｣
＿＿＿＿
小さな棺桶の中には花、菓子、絵本。
ナルの事を知らない者たちが作った、暖かい箱だ。
中に眠るナルは化粧が施され、少し微笑んでいるように見えた。
『……』
ﾏﾙｺ｢A、お別れできそうかい？｣
マルコはAの様子を伺う。
『……おう』
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快斗 - ついに6作目ですね！めっちゃ好みです｡応援してます！ (2021年4月17日 0時) (
レス) id: 670a53b6c0 (このIDを非表示/違反報告)
茶灯まって(プロフ) - ぽんさん» 外し忘れてました…気をつけます！教えてくださり、ありがとうございます！！！助かりました。 (2021年4月16日 19時) (レス) id: 14d735e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
茶灯まって(プロフ) - 三日月狐さん» ありがとうございます！！！できるだけ、もちろん無理のない範囲で更新していきます！ (2021年4月16日 19時) (レス) id: 14d735e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
三日月狐(プロフ) - 続編おめでとうございます！更新めちゃくちゃ楽しみにしてるけど、無理のない範囲で頑張ってください！ (2021年4月16日 18時) (レス) id: 3509484858 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茶灯まつ | 作成日時：2021年4月16日 18時
