白百合の少女 (ページ6)

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Episode4 目撃ページ6

代表チームが結成されてから数日がたった。
予選を勝ち進み、順調に本戦へと駒を進めていたパーフェクトスパーク。ほぼ元々施設で一緒にサッカーをしていた顔見知りで構成されていたとはいえ、試合にのぞむときの互いの緊張感も段々となくなっていた。
練習が終わった後、ユーリは性別がバレるのを防ぐため、毎回練習後にわざと自主練をこなしてから遅れてシャワーを浴びに行っていたが、誰かと一緒になってしまった時は仕方なく自室のシャワーを使っていた。
ユニフォームをランドリーに放り込み、ロッカールームで着替えている途中、後方のドアから視線を感じる。
振り向いてみると、閉めたはずの扉が少しだけ開いていた。

「誰かいるのか…？」

念の為にジャージを羽織って通路を確認するが、人影も気配も見当たらない。

「気のせいか…」

この時ドアに鍵をかけずに着替えをしていたことを後で後悔する事になるとはこの時は思ってもみなかった、、、

ルース side

ロッカールームにイレブンバンドを置き忘れてしまった。
アラームとして使っている為、絶対に無くてはならないものである。取りに行く途中、とうに人が居ないはずの部屋から明かりが漏れていた事が気になったが、自主練後の選手がいるのかもしれないなと思いながら中に入ろうとした時だった。
思わず隠れて扉の隙間から覗き見るような体勢になってしまったんだ。中ではユーリが着替えていた。普通なら入るだろう。
男同士だし。
躊躇したのは偶然、ユーリがタンクトップの下に着ていた胸潰し用の下着を脱ぐ所を見てしまったから…
酷く混乱した。
慌ててその場を離れ、イレブンバンドの事などすっかり忘れて逃げるように宿舎へ早足に向かった。
誰もが認める整った容姿や、伸ばされているプラチナブロンドの長い髪、女性だったら絶対可愛いだろうなと思っていたが、こんな形で知ってしまうのはなんか気まずいというか。
でも何故隠しているんだろう。

元々の性別なのだから、素のままで何も気にする事はないというのに、彼女は性別を偽って生きている。
男女共に参加を認められている大会なのにわざわざFFI大会本部に知られたらプロフィール偽装で出場停止をくらうようなリスクを犯してまで。

声も低いし、体つきも見るからに男性だったがまさか男装をしていたとは…

施設の練習チームこそは別だったものの、試合で会う度に彼の何故か同性とは思えない笑顔や仕草に惹かれていたのだ。