子供 ページ8
痛い、苦しい、眠い、寒い、
寒い。
今日はここらの土地を全て私有している大地主を殺した。
昨日は向こう街の大商人を。
嗚呼もう、戻れない。
もう二度と戻れない、おれは。
『やあやあどうも、こんばんは』
「なっ………」
なんだ、この、人間。
「いつの間に……」
『まあまあ』
「とりあえず子供宇髄さんは落ち着いてよ」
「子供宇髄さんはやめろ、時透」
「な、何でお前らオレの名字知ってんだよ！」
「ちょっと小さい宇髄さん煩いよ」
次の瞬間、首元に微かな痛みがして、視界が真っ暗になった。
「とりあえず、小さい宇髄さん運ぼうよ、怪我してるし」
『まさかの手刀でくるとは。まあ、でも確かに割と傷が深いですからね、それに、鬼がでる』
宿屋を探しましょうか、そう言って光のある方へと歩いていった。
.
ひんやりとして、冷たい。
重たいまぶたをゆっくりと開く。頭を撫でる手が心地良かった。
「ん……」
『嗚呼、おはよう忍くん』
何で、と言おうとしたのに口を開くと、傷が傷んで顔をしかめる。
『まだ完全には治ってないからね、安静が一番だよ』
「お前、おれのことド派手くんとか忍くんとか絶対名前で呼ぶ気ねぇな」
『まあ、ド派手くんはド派手くんだからね』
「でも宇髄さんの方がまだマシだよ、僕なんて昆布くんだから」
『昆布って美味しいよね』←
俺のことを忘れて目の前では愉快な会話。
嗚呼、おれも。
普通の人だったらなぁ。
こんなふうに、話せたのにな。
「………………」
『まあでも忍くんはまだこの状況を理解してないようなので、説明しましょうか』
�〇簔�はとある事情(血鬼術)で過去にやってきた。
『以上』←
「A、お前説明下手くそだろ」
「………何、言ってんだよ。さっきから、過去とか……」
『では、真剣に。ねぇ、忍くん』
何故私達が君の名字を知っているのか＿＿＿＿
何故私達は君を助けたのか＿＿＿＿＿＿
『私達は未来からやってきたなら説明がつくでしょう』
「………根拠のねぇ話だな」
だけど、と小さく呟く。
「今は…まだ、傷が痛む、から、少しだけ、本当だって、思って、やる………」
傷つける気はないと分かったのか、安心とともに気が抜ける。
今までで一番、温かな眠りだった。
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ひいらぎ・いろ(プロフ) - 紅林檎飴さん» お久しぶりです、紅林檎飴さんもどうか元気でお過ごし頂ければと願ってます。こんなにも長く作品を見てくれて、面白いと言ってくれて、小説書いてて一番嬉しい瞬間です、ありがとうございます。 (2021年3月5日 6時) (
レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅林檎飴(プロフ) - こんな遅くにごめんなさい、そしておひさしぶりです！！！あっ、覚えてないかと思いますが、元紅い林檎飴です！あのコメント以来ですかね...ここに戻って来ました！相変わらず面白くて大好きです！最近暖かくなってきましたが、体調にお気をつけて！ (2021年3月4日 22時) (レス) id: 24925b8b99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひいらぎ・いろ | 作成日時：2021年3月3日 21時
