事件 ページ17
お母さん以外に私にろくに話しかけた人もいなかったし、お母さん以外の人なんて、私にとってはただの他人で、どうでも良かった。
私は忌み嫌われていた。だから私も他人を嫌った。
ただそれだけ。
ある日、いつものように石を投げつけられたが、偶々当たりどころが悪かったらしい。頭から血が出た。
そんな私に声をかけてくれた人がいた。驚いたよ。
その人は初めて私に手を差し伸べた人だ。
その人と話すのは楽しい。面白い。嗚呼、幸せだ。
幸せだ。
その人と、今はもう何年も、会っていない。
最後に覚えているのはその人が酷く冷たい瞳で私を見ていたことだけだ。
.
______おい、起きろ!
_______A、起きて!
『ん……』
なるほど。いつの間にか眠ってしまったようだね。
思うと、周りの景色に気がつく。目を見開く。
『……………忍くんは』
荒れ果てた列車内。まるで爆発でもあったかのように、黒い煙で目が痛い。
「A、突然車内で爆発が起きたんだ。………で、宇髄さんが思わず大声だしちゃって……」
「なんで、コソコソ俺のこと尾行してたんだよ!」
『………やあ、忍くん。良かったよ、無事で』
「無事ってどういう…」
ドゴォオオオオオオオオォオオオ
「きゃあああぁああああああ」
「なんだ!!!!何がおきてるんだあぁ""!」
『……嗚呼、始まったようだね。昆布くん、ど派手くんは』
「今、列車の様子をみてきてる」
『じゃあ昆布くんとど派手くんは、乗客のことを守ってね。忍くんは、私と来てもらいましょうか』
忍くんに手を差し伸べる。忍くんは少し躊躇う。それでも、
「……なにがおきてんのか、説明してもらうからな」
私の手を、とる。
勿論、と微笑んで忍くんの手を離さないようにして、列車の一番奥までむかった。
.
『この列車の騒動は、全て君を狙ってのものなんだよ』
「え、おれ?!」
驚く忍くん。まあ、まさか殺す側の自分が殺されるとは思わないからね。
『何故、君が狙われるのを私が知っているのかって顔をしていますねぇ』
図星をつかれ、はっとする忍くんを横目でみて、私は答える。
『前に、私は君よりも未来の世界からきたって言ったね。未来の世界で、この列車で今夜殺人事件が起きる新聞を読んだのを思い出したんだよ』
「殺人事件…?おれ、死ぬ、ことになってるのか?」
『いやぁ、私の読んだ記事によると、死んだのは1名で、それも女性だよ』
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ひいらぎ・いろ(プロフ) - 紅林檎飴さん» お久しぶりです、紅林檎飴さんもどうか元気でお過ごし頂ければと願ってます。こんなにも長く作品を見てくれて、面白いと言ってくれて、小説書いてて一番嬉しい瞬間です、ありがとうございます。 (2021年3月5日 6時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅林檎飴(プロフ) - こんな遅くにごめんなさい、そしておひさしぶりです!!!あっ、覚えてないかと思いますが、元紅い林檎飴です!あのコメント以来ですかね...ここに戻って来ました!相変わらず面白くて大好きです!最近暖かくなってきましたが、体調にお気をつけて! (2021年3月4日 22時) (レス) id: 24925b8b99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひいらぎ・いろ | 作成日時:2021年3月3日 21時