沢煮椀 ページ24
眼が覚めると暗い所に倒れていた。足許にはAさんの隣にいた犬がいる。 ここはあの亡者の心の中のようだ。
「まあ、探索するか」
「べう!」
犬が返事をするかのように吠えた。遠くまで響く。ここは何処までも暗く、光はほぼ無いのであまり油断はできない。
暫く歩くと先に何かが落ちていた。近づいて拾ってみると、真っ黒くて小さい。手の中で転がすとぼろっと崩れてしまった。犬が鼻を手に押し付けてきたので顔を上げるとそこは何処かの建物の屋上だった。陽の光が眩しく眼がおかしくなりそうだ。
「なんで私ばっかりなの、なんで。あの子はなんで私を裏切ったの。なんで」
声のする先には亡者とそっくりな人間がふらふらと立っていた。それも、もう落ちてしまいそうなくらい端を。
「もう嫌」
ふっと消えた。バイバイとさいごに口が動いたのが見えた。彼女の溶けた空は真っ青だ。
気付くと元の場所に戻っていて、暗闇に慣れていた眼ももとどおりになってしまっていて、犬が不安げに自分を見ていた。
「あの子、が原因かな。もっと調べないと」
きぃんと犬が鳴いた。口に何か加えていた。真っ青な折り紙の鶴。
とてもぐちゃぐちゃで羽根は破れかけている。
「ありがとう」
取り敢えずポケットへ入れて探索を再開する。
「ひょととととと」
「ひぃ!?」
仲間に鳥が増えた。首に蛇。絞められる。肩に鳥。つついて来る。ここに来てからろくなことが無い。あるとすればこの鳥、ラベンダーの香りがする。何故。
「んっと、これ?」
鳥が咥えていたものを「早う受け取れやアホ」と押し付けてくるので受け取ると、ぐちゃぐちゃな折り紙の鶴。 暗い山吹色のような、よくわから無い色だ。
「きーっ」
「ひょよよよ」
いつから私の身体は動物園を開園したのだろうか? 疑問に思いながらよたよた歩く。気分が優れない。何処かで少し休みたい。向こうから足音が聞こえる。
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おりょうり(プロフ) - 亜鉛さん» 初めまして。最後までお付き合いありがとうございました。続きまで期待してくださりありがとうございます。ボチボチ頑張りますのでよろしくお願いします。本当にありがとうございました! (2015年9月4日 23時) (レス) id: 4a266f676d (このIDを非表示/違反報告)
おりょうり(プロフ) - Cm@すたーしょこらさん» 最後までお付き合いありがとうございました! 煮詰まったり展開に悩んだりしたのですが完結できて良かったです。本当にありがとうございました。 (2015年9月4日 23時) (レス) id: 4a266f676d (このIDを非表示/違反報告)
亜鉛 - 続き、出来たら見ます!楽しみにしてますね!まぁ、無理にとは言いませんけどね。気長に待ってます! (2015年9月4日 22時) (レス) id: 80557561c9 (このIDを非表示/違反報告)
Cm@すたーしょこら(プロフ) - ご馳走様でした。終わってしまうのはとても惜しいですが、読んでいてとても楽しかったです。 (2015年9月2日 22時) (レス) id: 9b965d834a (このIDを非表示/違反報告)
おりょうり(プロフ) - マミむめもさん» マミむめもさん、コメントありがとうございます。 完全に私個人が食べたいメニューとなっております。 これからも更新頑張らせていただくのでよろしくお願いします。 (2015年8月9日 19時) (レス) id: 4a266f676d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おりょうり | 作成日時:2015年8月2日 21時