親子丼 ページ22
「貴女、名前なんて言うの？」
「すごく今更ね。A」
「おれは木舌。よろしくね、Aさん」
谷裂さんがダウンしたので休ませている。 壁にもたれて力無く座っている彼は努力をしても意味なく感じることがあるそうだ。 実際そんな事は当たり前で努力が成功を連れて来るわけでもなんでもない。
亡者？ とか言われていた人はどうやら恨みがとても強いらしい。 何故私まで巻き込まれたのかは不明と。
それにしても先程から右手の痙攣が止まらない。
「この辺りは蒸し暑いね」
「貴方達の制服じゃあ暑いわね」
これだけで会話が終わる。 しーんと静まり返り、恐らく下の階で亡者が逃げているのを追っているのだろう。バタバタと音が聞こえる。そっちだ、とか声も聞こえてきそうだ。多分私が此処にいる事は迷惑以外のなんでもないんだろうなぁと思う。
右手の痙攣が止まらず、頭痛までしてきた。
「Aさんは何をしてる人なの？」
「料理。それしかできないの」
「へえ、でも人を幸せにできるんじゃない」
「幸せにも不幸にもできるわ」
「そっかあ。幸せにご飯を食べられるといいね」
「そうね」
体が言う事を聞かなくなってきた。 耳鳴りで相手の言葉が聞こえない。黒い点々が視界いっぱいに広がって、辺りが見えない。
「ご飯を美味しく食べられなくなれば」
私の口から私の声ではない声が出た。
「私みたいに死んじゃうもの」
Aさんが乗っ取られた。 きっと肋角さんの言っていた厄介とはこれの事だ。 彼女は一気に距離を取ると、こちらを振り返りにっこりとそれはそれは人間らしく可愛く笑った。 こんな状況でのその笑は不気味なものでしかない。
きっと亡者も気付いている。 こんな事をしてももうどうにもならないのだ。
その時、彼女がフッと真顔になりとてつもない風が辺りを吹き散らかした。
「谷裂、 動けるか？ 一旦退いて佐疫達に情報を回そう」
「ああ」
彼女の顔は悲しみに染まっていて、ボロボロ涙を流している。 亡者の生きていた頃、流せなかった涙を流しているようにも見えた。
きっと亡者は精神が不安定だったのだ。 それがAさんにも伝染して、乗っ取るという形で表面に現れ出た。
今回は本当に大変そうだ。
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おりょうり(プロフ) - 亜鉛さん» 初めまして。最後までお付き合いありがとうございました。続きまで期待してくださりありがとうございます。ボチボチ頑張りますのでよろしくお願いします。本当にありがとうございました！ (2015年9月4日 23時) (
レス) id: 4a266f676d (このIDを非表示/違反報告)
おりょうり(プロフ) - Cm＠すたーしょこらさん» 最後までお付き合いありがとうございました！ 煮詰まったり展開に悩んだりしたのですが完結できて良かったです。本当にありがとうございました。 (2015年9月4日 23時) (レス) id: 4a266f676d (このIDを非表示/違反報告)
亜鉛 - 続き、出来たら見ます！楽しみにしてますね！まぁ、無理にとは言いませんけどね。気長に待ってます！ (2015年9月4日 22時) (レス) id: 80557561c9 (このIDを非表示/違反報告)
Cm＠すたーしょこら(プロフ) - ご馳走様でした。終わってしまうのはとても惜しいですが、読んでいてとても楽しかったです。 (2015年9月2日 22時) (レス) id: 9b965d834a (このIDを非表示/違反報告)
おりょうり(プロフ) - マミむめもさん» マミむめもさん、コメントありがとうございます。 完全に私個人が食べたいメニューとなっております。 これからも更新頑張らせていただくのでよろしくお願いします。 (2015年8月9日 19時) (レス) id: 4a266f676d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おりょうり | 作成日時：2015年8月2日 21時
