「彼氏が本命と〜」の後日譚 ページ20
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彼氏が本命と再会したようです【安室透】の後日譚。
ページ数のせいでいれられなかったので、供養。
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××years later
一驚を喫した。
茫然とするしかなかった。
自身の身に起きた事が信じられなくて、家に帰ってもしばらくぼうっとしていた。
零さんにどう伝えればいいのか、分からない。下手に言えば大変な事になるのが目に見えているから。
とりあえず様子見として黙っておこうかと思い定める。
「ただいま」
「おかえりなさい。ご飯できてるよ」
「んーこの匂いは……、煮物?」
「正解、ちょっと健康志向でいこうかなって」
「だからそうなってるらしいぞ……A?」
「……へ、あ、うん、そうなんだ」
夜。
今日はいつもより早く帰ってきた零さんと、私が作った食卓を囲んでいた。
昼の事は、言わない。
そう決めたにも関わらず不安で押し潰されそうな時はまず零さんに相談するのが染み付いてしまった私は、会話の端々がぎこちない。ぎこちないどころではない。下手くそか。思い詰めて険しい顔をし思考に走っていたため返答が気のない感じになる。それに違和感を抱くなというのが無理な話だ。案の定零さんは眉をひそめて問いかけてきた。
「……どうした。何かあった?」
「いや、別に、」
「別にとか言う時は大抵何かあっただろう。些細でも心配な事があったら言えっていつも言ってる。違う?」
「違わない、けど」
「けどとかでもとかごちゃごちゃ言ってないで俺を頼ってくれよ。そのつもりで一緒にいるんだから」
「……零さんには、敵わないなあ」
「Aが分かりやすいだけなんだけどな。で、どうした?」
しょうがないなと呆れた調子の笑顔が、慈しみで溢れているのを知っている。これだけで、どれだけの事を言っても、この人なら受け止めてくれる、と安心させられる零さんは、すごいなあ。
こほん、と咳払いをする。
「零さん」
「ん?」
「今までありがとう。こんな不甲斐ない彼女にたくさん愛情を注いでくれて。今じゃ私、ちゃんと愛されてるんだって自惚れでもなく言える」
「……は、おま、」
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作者名:dear | 作成日時:2020年3月10日 2時