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ネタ3 ページ16






生き続けるって、案外難しいことなのだと、わりと最近気づいた。


言うなれば、そう。ちょっと魔が差した、としか。



耳かっぽじってよおく聞けよ【降谷零】









最近気づいたことが、何個かある。

まず、一つ目。
ここが、『名探偵コナン』の世界だということ。
何がきっかけって、初めてテレビで『工藤新一』が話題として取り沙汰になっていたのを見た時だった。なんとなく、既視感を覚えたのだ。見たことあるな、って。
そこから数日、私は頭痛を経て謎の発熱に陥り、完治した頃には『前世の記憶』なるものを手に入れたというのが事の経緯。

前世の私が存在した世界で、今私がいる世界はごまんとある漫画の一つだったのだ。私は漫画が好きだったし、馬鹿にするつもりは毛頭ない。けど、どうだろう。考えてみて欲しい。今まで自分が必死に生きてきたのはたった一部でしかないが、陰謀の渦に巻き込まれながらも優しさがふと垣間見える、膨大な、憎らしくも愛しい世界を。

フィクションだ、と。否定、されてしまった。誰にというわけでもなく。

なんとなく、鮮やかだった世界が、無味無臭の世界に感じられてしまったのだ。

二つ目。
一生懸命生きるって、案外難しい。
ふらふらと地に足つかずで生きてきた私は、しっかりとそこにあると思っていた地面ですら確かなものでないことに気づいてしまった。
これでは駄目だ、犯罪発生率の異常に高いこの米花町ではすぐに無差別殺人の標的に成り下がってしまう。どうにかして当たり障りなく、人と衝突しないように上手く生きていかなければ。私は固く心に誓った。

けれど、そう。それが、意外と難しい。相手の顔色を伺って、どう考えているかを推測し、望むように行動することは、簡単だけれど簡単じゃなかった。
することが明確に分かるからそういう意味においては容易いが、心が、摩耗していく。
どうして私はこんな奴のために言う通り動いているんだろう。私はもっと、こうしたいのに、と。でもそれは相手にとって本意ではなくて、むしろ煩わしかったりする。

この世界の住人は到底不可解な理由で殺人を犯すから、小さな火種は今のうちに消しておかなければいけない。



でも、すごく、しんどいんだ。


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作者名:dear | 作成日時:2020年3月10日 2時

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